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2008年1月27日 (日)

マーズ・アタック(その2)

「マーズ・アタック」に登場するマーシャン・スパイガールのレジンキットがやっと完成しました。要は、頭でっかちの火星人がホワイトハウスに侵入するために化けた美女の姿です。女好きの秘書官が引っ張り込んで大騒ぎになるのですが・・・。この火星人美女を演じたのが、ティム・バートン監督の前の奥さんのリサ・マリーでした。やけに人工的な美女面とくねくね歩く姿が圧倒的な魅力です。Dscn80651 Dscn80671 Dscn80691                       

このキットはメーカー不明ですが、グロテスクな火星人のスペアの顔付きです。塗装は、まず、胴体に苦労しました。ゴールド、シルバー、ホワイト、クリアーブラックとラッカー塗料で下塗りを重ね、その上に、赤い水性顔料ペンで変なマークを全身に描き込みました。最後に半光沢のクリアーで固めました。 予想どおり、一日仕事でした。ただ、思った以上に効果的だったような気がします。いかがでしょうか。Dscn80741 Dscn80771

本物の顔はもっとドギツイ化粧なのですが、とりあえずこれくらいの薄化粧でとどめます。取替え用の火星人の頭部も手付かずです。

まあ、「本日はここまで」ということで、残りの部分はまたの機会に作ることにしましょう。      

2008年1月20日 (日)

タイタンの戦い(その2)

 最近、大人の塗り絵とかいうものがブームになっています。塗り絵などの作業はセラピー効果があると言われているせいかもしれません。モデルキットの塗装もいわば立体塗り絵という気がします。(友人からも言われました。)

 本日は朝から立体塗り絵に没頭です。セラピー効果か、仕事のことを忘れて気分転換になります。もちろん取り組んだのは、先日、ご紹介した組み立てたまま放置していたレイ・ハリーハウゼンの映画「タイタンの戦い」に登場する「メドゥーサ」です。

Dscn80601 Dscn80592 Dscn80602 キットのメーカーは不明です。たしかオークションで入手したものでした。造型はレジン性で丁寧な造りですが、映画の「メドゥーサ」とは顔も体型も余り似ていません。どうも小顔で足(蛇胴体)が長いなどスタイルが良すぎるのです。私としては、映画とそっくりな物が好みなので、今一つしっくりしません。かつてガレージキットメーカーだったマーメイド社から発売されたという幻の「メドゥーサ」を手にしたいものです。

さて、今回の出来ですが、残念ながら今回も体色表現に失敗です。本物はもっと青い色なのですが、塗り進んでいくうちにまたしても緑色になってしまいました。「またしても」というのは、実は前回別のキット製作の時も、緑色になってしまいました。教訓が生かされません。今回は、ついでのことに、映画と趣向を変えて、髪の蛇を赤色系にまとめ、赤毛のイメージにしました。さらに、尻尾の最先端を毒を警戒させる赤色に染めてみました。効果はいかがでしょうか?あ、矢筒と弓の弦を忘れています。また、次の機会です。Dscn80593 Dscn80641 Dscn80632肉体的には相当疲れました(笑)。

2008年1月19日 (土)

ハリウッド恐竜スター図鑑2005

「ハリウッド恐竜スター図鑑2005」という録画DVDを大先輩からいただきました。この作品は、2005年にFOXテレビが製作放送したものらしいのですが、なんともセンスの無いタイトルとは裏腹に、恐竜に関する膨大な情報を年代順に貴重な映像や物凄い人のインタビューで綴った、大変面白い内容です。欧米における「恐竜」の人気の高さを反映したものでしょう。映画に登場した恐竜だけではなく、恐竜の学説自体をロンドン博覧会の世界初の恐竜模型の展示物などから紹介するのですから、うれしくなります。

また、インタビューに登場する人物が凄いのです。まず、あのスティーブン・スピルバーグ監督が登場しますし、モデル・アニメーションの神様、レイ・ハリーハウゼンも登場します。また、恐竜研究家であるドナルド・F・グルートが登場したのには驚きました。実は、この人の著作を巡って、かつて、とんでもない思い出があるのです。この放送の中でもとりあげられていますが、恐竜の人気が高まり、そのおなじみの姿が大衆に定着したのは、チャールズ・R・ナイトという画家が、当時の科学的な考察を踏まえ、臨場感あふれる復元画を書いたのが起こりのようです。初代キングコングなどの映画も、ナイトの復元画をもとにデザインされています。この有名な復元画家は、アメリカ各地の博物館の壁画などにも、様々な恐竜の絵を残しております。こうしたナイトの恐竜絵を集めた画集を、ドナルト・F・グールドが出版したのです。題名は、「恐竜、マンモス、洞窟人」です。日本のある雑誌で記事を見つけ、東京の洋書屋を通じて注文したのですが、アメリカの出版事情は、日本と違い短期間の出版が多いとのことで、注文時には既に絶版となっており、入手困難という宣告を受けました。その後、あきらめきれず、神田の古本屋街の発掘や知人を通じて国会図書館まで検索しましたが、その本はありませんでした。幻の本となって十数年。時は、インターネットの時代となりました。数年前、「赤い靴」という海外の古本屋さんの洋書販売ネットワークがあることを知りました。祈るような気持ちで検索したところ、ありました。カナダの古本屋にありました。ただし、かなりな値段です。その本代に仲介料や送料を加え、相当な高価になりますが、もちろん、即、注文です。本が届けられるまでが、至福の時間だったかもしれません。Img

この念願の本の表紙がこれです。

手にとって、冊子の薄さに嫌な予感がしたのですが、ページを開きました。・・・長年の想いがガラガラと崩れ去りました。無意識にページ一面を占める絵の画集を想像していたのですが、英語の長たらしい解説の合間に、小さな恐竜絵が紹介されていますようなレイアウトであり、しかも、どの絵も見たことのあるものばかりなのです。正直、がっかりしたのです。放送に、この本の著者がいたのです。髪をバーコード風にまとめて、解説してます。・・・関係ないか。(笑)

もっとも、チャールズ・R・ナイトの復元画は、恐竜学の草創期のもので、今となっては科学的な考証が正確ではありません。私などは、中学校の図書館で見た「人類以前」という図鑑に衝撃を受けました。Img_0001 これは見開きに1枚の復元画が掲載されています。皆さんがどこかで見たような有名な絵も結構あります。(少年誌などが構図を流用?)

チェコ人のゼネック・ブリアンという画家で、日本語版は、とっくの昔に絶版です。大学生の頃に、近くの古本屋で入手できたのは、いまでも奇跡だと思っています。その後、オリジナルの洋書版やもう一冊予備(?)を入手しました。もちろん、この復元図も、すでに過去のものとなり、いまや、立ちタイプだったティラノザウスルスも横向きタイプに変わり、ブロンドザウルスは消え去り、別の名になった恐竜は、長い首と尻尾を天秤棒のように張って歩行しています。あまつさえ、羽のある恐竜像が大手を振り始めています。放送でも言っていましたが、恐竜は科学的発見により変わり続けるのでしょう。

そういえば、懐かしい映像もありました。ニューヨーク博覧会にディズニーが出展したロボットの恐竜達です。すっかり忘れていましたが、子供のころ、テレビで見たシーンを思い出しました。口を揉むようにして木の葉を咀嚼しているのです。それにしても、あのウォルト・ディズニー本人が司会するTV番組はなんという番組名でしたかなあ?。確か、4つの分野に分かれていました。おとぎの国が楽しみだったような気がします。ウォルト・ディズニー本人の前説場面だけを集めたのをDVDで出さないでしょうかねえ。

しかし、本当に、アメリカ人は恐竜が好きです。こんな番組が日本で製作されることはないでしょうし、内容自体も、かなりマニアックで、過去の報道記録映像や紹介する映画やTVの作品なども製作会社の枠を超え、膨大な情報を集めています。その姿勢は半端じゃないです。N先輩、まことに、楽しい作品を頂き、ありがとうございました。この場を借りて、御礼まで。 

2008年1月14日 (月)

吸血鬼ドラキュラ

吸血鬼映画の変形の映画(アイ・アム・レジェンド)を見たせいか、伝統的な正統派吸血鬼ドラキュラが懐かしく、一念発起し、ついに、バストキットを完成させました。Dscn8053 Dscn80581 Dscn8054

大変、血色の良い吸血鬼になりました(笑)。このモデルは、若き日のクリストファー・リーの精悍さがよく出ているバストキットの傑作です。しかしながら、製作過程での雑な型取りのため、余分なバリや気泡が目立ち、穴埋め、研磨などの前作業が難航しました。さらに、日頃の修行をサボっていますので、下手な腕前がさらに落ちておりまして、今朝から、何度、塗り直したことでしょうか。結果は、写真のように、なんとも、お粗末な塗りになってしまいました。ともかく、いったん完成ということにして、気力が復活した時点で、塗りの仕上げをしましょう。ということで、完成品のご紹介でした。

2008年1月13日 (日)

地球最後の男

「アイ アム レジェンド」は、実は、「地球最後の男」という映画の3度目の映画化です。一番最初の映画は、主演怪奇俳優のビンセント・プライスです。Img_0001 この方は、アメリカでは相当有名な様子で、かのティム・バートン監督のデビュー作が、この俳優にあこがれる子供が夢みる話のアニメ映画「ビンセント」であり、さらに、ジョニー・デップ主演の「シザーハンズ」の父親の博士役に使っています。(名は知っていますが、実際、私が見たのは、この映画と最初の蝿男とその続編の映画だけです。)

 この「地球最後の男」の設定は、人類が滅亡した後、たった一人、廃墟の中で暮らしているのですが、襲い来る敵は、吸血鬼なのです。日光や十字架や鏡、にんにくに弱い、伝統的な吸血鬼なのです。もっとも、最初登場する吸血鬼は、言葉はしゃべるものの、スローモーな動きをする低級なゾンビ風なのですが、実はさらに別の敵がいた、というもので、ラストは、なんとも救いようの無い結末になります。もちろん、地球最後の女も登場しません。(吸血鬼は死人ですから、人間でないという解釈です。)

Img  第2回目の映画化は、チャールトン・へストンが主演した「オメガマン」です。この原題の意味はわかりませんが、設定はほぼ同じなものの、敵が吸血鬼というよりは、むしろ夜行人間というような設定ですし、主人公以外にも人類の生き残りが存在し、ラストは、人類の明るい未来を示唆する救いのある結末となっていました。ヘストン得意の史劇風に、救世主の格好で幕がおります。

 今回の「アイ アム レジェンド」は、この2回目の映画化のほぼ踏襲です。唯一違うのが、敵が正統派の吸血鬼から、人食いゾンビに変更されています。さらに、動きの速い夜行性のゾンビの群れですが、知能が無い設定の割には、組織されたり、罠まで作り出すのは、いかがなものでしょうか。違和感があります。ただ、もう少し知性のある高度な敵でないといけません。ただのゾンビ映画でした。そのため、見所といえば、ニューヨークの廃墟の見事さのみです。映像は前二作とは比較にもなりませんが、それだけのものでした・・・。今回は、パンフレットも購入しませんでしたナア。

2008年1月 7日 (月)

在庫紹介

Dscn80021 Dscn8012現在、素組みやサーフェイサーで下塗りしてるレジンキットの紹介です。 なかなか本塗りする意欲が高まりません。一番目は、「マーズ・アタック」に登場する火星人です。通称、「マーシャン・スパイガール」。Dscn7853あのクネクネした歩き方が魅力です。服の渦巻き型模様を描くのが気が重く、下塗りした段階でそのまま放置です。(笑) Dscn7856 気泡も随分あるし・・・。 2番目は、「タイタンの戦い」のメドゥーサです。髪の毛の蛇の模様が気が遠くなり、そのまま放置です。(笑)

Dscn7859Dscn78623番目は、ご存知、クリストファーリー・リーの「吸血鬼ドラキュラ」のバストキットです。ひげの剃り跡と目の毛細表現に自信が無くて、手付かずです。(笑)

いずれにしても、気力が充実しないとなんともなりません。毎日、眺めて、うーん、どうしようか、悩んでいます。とりあえず自己満足の写真を撮って、作った気分になりましょう。(笑) そういえば、「スターゲイト」のアヌビスも箱入りのまま眠っています。あれは、組み立ての部品数が多く、少し怖気づいております。(笑)

要は、やる気がどこかに行っているのです。(笑)・・・模型魂が帰ってくるまで待ちましょう。

2008年1月 6日 (日)

オペラ座の怪人(その2)

久しぶりにソフビキットの塗装を行いました。3日しないと腕前が落ちるというのは本当ですね。Dscn79951 Dscn79981 今回は比較的簡単なはずのキットなのにミスを何度と無く犯し、結構手こずりました。Dscn79961                                   Dscn8000_2 ビリケン社製の「オペラ座の怪人」のソフビキットです。以前に、オークションで中古品を入手し、いったん塗装を剥いで、サーフェイサーによる白(?)塗りのまま放置してあったキットです。初期のビリケンのキットは、名作ぞろいです。特に、フランケンシュタインの花嫁などが有名ですし、一度、私も手にしたいものです。

 今回のキットは、顔や手などの肌の部分をガイアノーツの塗料で塗っています。そのほかの部分は、クレオスのラッカー塗料や一部エナメルも使いました。さらに、パステルの粉も早速使ってみましたが、なかなかうまくいきません。現実は、デモ・テープ(「モデルマニア」というDVD)の名人のようにはなりません。しかも、逆に粉が浮くなど、予想外のピンチなどもありました。困ったものです。

2008年1月 3日 (木)

用心棒

「椿三十郎」の次は、やはり、「用心棒」を抜かすわけにはまいりません。黒澤明が娯楽時代劇と割り切って撮った作品です。黒澤プロダクションの2作目ということもあり、なんとしてもヒットさせたかったと思いますが、この作品とその続編「椿三十郎」で、日本の時代劇が大きく変わりました。Img_0023

まず、それまでのチャンチャンばらばらの殺陣を一新しました。本当に斬るか斬られるか、という迫真的な形のリアルな殺陣になりました。そして、映画史上、初めて人を斬る音を入れたのです。鶏肉に割り箸を刺したものを切った音ということです。なお、この映画でも、斬ったときに、血が噴出する演出が使われたのですが、夜間の暗い場面で、量も少なかったので、あまり評判にはなっていません。ヘモグロビンの噴出は、次の「椿三十郎」で花を開くのです。

そして、三船敏郎演じる素浪人の創造です。頭が切れて、腕も立つ、自由な男という新たなヒーロー像を時代劇の世界に生み出したのです。黒澤は言います、「人を斬るのが面白いのじゃない、三十郎が面白いのだ」と。この主人公は、三船とともに、「座頭市と用心棒」で座頭市と対決したり、TV番組で変な役もやっていました。(笑)ちなみに、この「用心棒」では、桑畑を眺めて、「桑畑三十郎」と称します。

さらに、喜劇といっても可笑しくないほど、笑いとユーモアに満ち溢れています。ハードな雰囲気の中での緊張と笑い、このブレンドの妙が活劇の魅力なのです。第一、「馬ノ目の宿」の名前からして笑います。手首をくわえた野良犬、飲み屋の隣の棺桶屋、用心棒代の銭勘定、昼逃げの用心棒、火の見やぐらの見物、チョット足りない猪ノ吉(名優加東大介が好演)の片棒担ぎ、などなど。笑いの起こる場面は数知れません。

一方で、望遠を用いた圧倒的な映像美も凄いものです。酒屋の大樽には参りました。風も、ホコリも、劇的な効果を高めています。

そして、なにより盛り上げるのが、強烈なライバルの登場です。仲代達矢が演じた「卯之助」です。バーバリのような粋なマフラー(あのマフラーは何製でしょうか?)を首に巻き、懐手から短銃(S&W)をぶっ放す、抜け目の無いやくざ者です。三船の描いた絵を書き換えながら、唯一窮地に追い込むのです。蛇のように現れたり、着物の裾を掴んで走り去る姿は、悪の魅力に惚れ惚れします。(この映画から黒澤組に仲代が入ります。七人の侍の端役以来、二人ともあまり良い感情を持っていなかったそうな・・)

スト-リーも相変わらず見事なものです。蔵の牢からの脱出方法、短銃の阻止方法など感心します。台詞も「面白かったぜ」「生きてるようには見えないぜ」とか、印象的なものも沢山あります。

この映画は、ご存知のように、マカロニウエスタンの生まれるきっかけとなりましたし、映画の写真を集めた文庫本やノベライズ本まで出版されています。もちろん、フュギュアも作られました。

是非、未見の方はご覧ください。これが本物の娯楽作品です。

「椿三十郎」考

観るか、観ないか、思い悩んでいた映画があります。黒澤明の傑作をリメイクした「椿三十郎」です。そして、ついに、昨夜、意を決して観てきました。Img

その感想は、うーん、何と言ったら、よいのでしょう。

まず、色がとてもきれいだ、ということです。彩度を落としたということですが、落ち着いた色合いであり、黒澤がこだわったものの、当時は、技術的に困難だった、椿の色も鮮やかに写されています。◎

次に、構図がほとんどオリジナルと同じなのです。セットもよく似ています。モノクロの美術の良さが、カラーになってもそれほど遜色はしません。逆に、ああ、こんな色だったかとの感慨さえ覚えました。◎ 

ただ、衣装については、三十郎の着物が気に入りません。お調子者が着るような小豆色にするにしても、もっと薄汚れているべきです。まるで洗い立て新品のようです。(監督の意向らしい)髪型も半人前の前髪のようでよろしくない。ただ、着物の紋が前作と同じなのには納得した。△

脚本は、オリジナルのままです。三十郎以外の役は、出演者がよく頑張りました。旧作には、少ないアップも効果的に入れて、表情や役者がよくわかります。特に、押し入れ侍は良かった。前作は、途中まで小林桂樹とはわかりませんでした。それに加えて、三悪人の役者がよかった。前作以上にコミカルにそれぞれ芸を競っていて面白い。◎

前作の目玉である殺陣は、CGを使わないことを聞いて以来、まったく期待していませんでしたし、結果もそのとおりでした。アップで誤魔化して、殺陣を勉強した気配がありません。前作の凄みはまったくありません。第一、解説してどうすんだ。「再生」でもう一度?冗談でしょう。×

最大のミスが主演の織田裕二です。あの世界陸上の総合司会の時のように、舞い上がって、ボルテージだけが上がり、空回りをしています。三船用の台詞をキャラが違う織田がしゃべるのですから、聞き苦しくてたまりませんでした。ここだけは台詞を練り直すべきだったのです。×

いや、これは、織田のせいではないのでしょう。Img_0020 いかに、三船敏郎という役者が偉大だったかということです。単に、黒澤の演出の効果だけではありません。三船が居たからできたということを改めて思います。何しろ、世界のミフネですから。

結論として、この映画をリメイク映画という言うのは、いかがなものか、と思います。まったく同じ脚本、同じセット、同じ構図では、「模写」であり、コピーであり、良く言えば、カラー化です。その意味では、よく出来ていましたし、旧作が無ければ、面白く見えたのでしょう。結構、劇場内で笑い声がしていました。

しかし、自らの創作活動を志す映画監督たる人が、どうしてこんな人真似のような映画を作ったのでしょう。よくわかりません。実は、黒澤監督の熱狂的なファンで、黒澤が心残りだったカラー化を実現したかった?とか、黒澤と同じ撮影を習作として勉強したかった?。あるいは、若い人に本物の黒澤映画を見てもらいたくて、その入門映画として、カラーで言葉のわかりやすい映画を作った?・・・もしそうなら、私も応援します。・・・まさか、紅白交じりの椿をやりたかったわけではないでしょうね。(笑)

2008年1月 2日 (水)

七人の侍

新春にはやはり名作が似合います。そこで、ここは、日本の誇る世界の巨匠黒澤明の代表作であり、最高傑作である「七人の侍」の登場です。

Img 私が初めてこの映画を見たのは、高校生のときで、学校の映画研究会が16mm映画を校内で公開したのです。その頃は、邦画には見向きもせず、ましてや黒澤明の何たるかも知らず、単に「面白そう」と何気なく見たのです。

見て、ぶっ飛びました。知っていた東映時代劇、いや、洋画でもこんな映画は見たことがありませんでした。モノクロの映像ですが、映像が凝縮しているのです。まるで戦国時代にタイムスリップして実際を撮影したかのような、記録映画風なのです。風景やセットが物凄いのです。さらに、よりリアルにみせるために、スローモーションや望遠を駆使します。そして、3人の優秀な脚本家が練りに練ったストーリーは見事であり、前半の侍が一人一人集まってくる場面、菊千代の創造による侍と百姓のつなぎ、豪雨の戦闘シーンなど、本当に映画的な面白さに満ち溢れています。まさに、映画が芸術の域に達したものです。しかも、いわゆる独りよがりの文芸作品ではありません、ユーモアなど緩急自在な演出は、見る者の魂を捕らえて話しません。私の先輩のように、酒の席で突然「七人の侍の名を全部言えるか?」などというファンが居るのも当然です。

 この映画を知らずに、映画を語る資格はありません。若い人に是非とも見てもらいたいものです。3時間余ありますが、まったく飽きることはありません。映画芸術の真髄に触れてください。できるだけ若い頃が良いと思います。スピルバーグなどは、大学で何度もこの映画を見て、演出の勉強をしたそうです。何故、日本人は、日本の宝を大事にしないのでしょうか。それどころか、知識人と称する有名な映画評論家などは、自衛隊に引っ掛けて、この映画の価値を下げようとするのですから信じられません。

 少し話が逸れましたが、二度とこのような映画は作れないでしょうし、リメイクも無いでしょう。ともかくも、撮影の裏話を見ても凄まじいものがあります。撮影期間が長引き、ラストシーンが夏から冬へ移り、真冬の豪雨の中のアクション。白い吐く息を消すために口に氷を含んでいたと言います。裸同然の三船は凍えるような状況だったでしょう。その中で、あの見事な戦闘です。特に、地形や戦術を事前に描いているので、よく迫力が伝わります。この辺が、平凡な監督との違いです。

ともかく、日本を代表する、誇れる映画です。ハリウッドのユル・ブリンナーが惚れて、ハリウッドで「荒野の七人」を製作しています。もっとも、出来は黒澤の圧勝です。しかし、よほど好評だったのか、続編が次々と作られ、少なくても4作が作られています。そのほかにも、複数のチームによるアクション映画もかなり生まれています。なお、7人という数字は欧米ではラッキーセブンといわれる幸運の数字。この映画の裏話的にいうと、野武士の数は40人。侍を足せば47人です。(何を意味するか、判りますよね。)

 最近になっても、この七人の侍のフュギュアも作られています。このことからも、その人気の高さが伺えます。しかも、そのサイズはミリタリー模型の世界共通サイズの大きさというのも黒澤らしいものです。(後日、写真をご紹介します。) Img_0001

是非、黒澤明の他の映画もご覧ください。若い内に・・・。

2008年1月 1日 (火)

プリティ・ウーマン

Img_0002_2 Img_0001新年、明けましておめでとうございます。元旦にちなみ、何かおめでたいお話と思いましたが、なかなか思いつきません。

そこで、ハッピーなお話をご紹介します。まずは、大きな口の笑顔がステキなジュリア・ロバーツ主演のご存知、「プリティ・ウーマン」です。現代版「マイ・フェア・レディ」のシンデレラ物語です。何しろ、街角の売春婦が大金持ちの王子様とめでたく結ばれるという御伽噺なのです。劇中でも、「こんな幸せな人の話を聞いたことがある?」という問いかけに「シンデレラ」と答えるシーンがあります。また、原案の「マイ・フェア・ガール」が教育で淑女になったのに反して、この映画では「お金で磨かれたのよ。」と主人公が独白するシーンには、映画の作り手の慧眼を感じます。軽快な音楽に乗って、高級洋装店での買い物シーンは、庶民のささやかな夢をかなえます。この映画で、ジュリア・ロバーツは、文字通り大スターになりました。一時は、最も出演料の高い女優の一人だったとか・・。この女優が自分自身のような、ハリウッドの世界的な大女優役で出演した「ノッティングヒルズの恋人」も、逆パターンで面白い。ロンドンの下町のしがない本屋の店主ヒュー・グラントとの身分違い(笑)の恋物語です。特に、グラントの家庭や環境がイギリスの社会を垣間見せて日本人には目新しく、新鮮でした。この映画も、紆余曲折を経てハッピ-エンドでした。それにしても、この後のヒュー・グラントの活躍は素晴らしいものがあります。(それにしても、オールスター映画「オーシャンなんとか」のロバーツの設定は全くいただけません。あれは禁じ手です。ガメラの世界には亀は居てはいけないのです。・・・わかるかなあ?夕焼け小焼け・・古い。)

「プリティ・ウーマン」は、出演者の好演が光ります。まず、ホテルの支配人役です。この人が、ホントにいい味を出しています。次に、ワンシーンですが、高級店の男の店長がいい。このひと、何かの映画で見たことがあるが、思い出せません。そして、最後の極めつけは、なんと言ってもリチャード・ギアでしょう。この人の顔からは、それほどの二枚目とは思いませんが、わけあり(?)の白馬の王子役がよく似合います。なにしろ、スターになった「愛と青春の旅だち」も、白い制服を着た王子様役だったし、最近の「Shall We Dance?」にも、エレベーターに乗った王子様(?)姿がよく似合っていました。

しかし、この映画のラスト時点のハッピーエンドも、その後はどうなるのだろうと思います。あのいやな野郎がヴィヴィアンの過去を知っていますし、上級階級の社会で果たして幸せに生きていけるのだろうかと、無用な(ホントにそう)心配をします。続編が出来るなら、絶対二人が別れているシーンから始まると思います。もっとも、これが人生なのでしょう。

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