ハリウッド恐竜スター図鑑2005
「ハリウッド恐竜スター図鑑2005」という録画DVDを大先輩からいただきました。この作品は、2005年にFOXテレビが製作放送したものらしいのですが、なんともセンスの無いタイトルとは裏腹に、恐竜に関する膨大な情報を年代順に貴重な映像や物凄い人のインタビューで綴った、大変面白い内容です。欧米における「恐竜」の人気の高さを反映したものでしょう。映画に登場した恐竜だけではなく、恐竜の学説自体をロンドン博覧会の世界初の恐竜模型の展示物などから紹介するのですから、うれしくなります。
また、インタビューに登場する人物が凄いのです。まず、あのスティーブン・スピルバーグ監督が登場しますし、モデル・アニメーションの神様、レイ・ハリーハウゼンも登場します。また、恐竜研究家であるドナルド・F・グルートが登場したのには驚きました。実は、この人の著作を巡って、かつて、とんでもない思い出があるのです。この放送の中でもとりあげられていますが、恐竜の人気が高まり、そのおなじみの姿が大衆に定着したのは、チャールズ・R・ナイトという画家が、当時の科学的な考察を踏まえ、臨場感あふれる復元画を書いたのが起こりのようです。初代キングコングなどの映画も、ナイトの復元画をもとにデザインされています。この有名な復元画家は、アメリカ各地の博物館の壁画などにも、様々な恐竜の絵を残しております。こうしたナイトの恐竜絵を集めた画集を、ドナルト・F・グールドが出版したのです。題名は、「恐竜、マンモス、洞窟人」です。日本のある雑誌で記事を見つけ、東京の洋書屋を通じて注文したのですが、アメリカの出版事情は、日本と違い短期間の出版が多いとのことで、注文時には既に絶版となっており、入手困難という宣告を受けました。その後、あきらめきれず、神田の古本屋街の発掘や知人を通じて国会図書館まで検索しましたが、その本はありませんでした。幻の本となって十数年。時は、インターネットの時代となりました。数年前、「赤い靴」という海外の古本屋さんの洋書販売ネットワークがあることを知りました。祈るような気持ちで検索したところ、ありました。カナダの古本屋にありました。ただし、かなりな値段です。その本代に仲介料や送料を加え、相当な高価になりますが、もちろん、即、注文です。本が届けられるまでが、至福の時間だったかもしれません。
この念願の本の表紙がこれです。
手にとって、冊子の薄さに嫌な予感がしたのですが、ページを開きました。・・・長年の想いがガラガラと崩れ去りました。無意識にページ一面を占める絵の画集を想像していたのですが、英語の長たらしい解説の合間に、小さな恐竜絵が紹介されていますようなレイアウトであり、しかも、どの絵も見たことのあるものばかりなのです。正直、がっかりしたのです。放送に、この本の著者がいたのです。髪をバーコード風にまとめて、解説してます。・・・関係ないか。(笑)
もっとも、チャールズ・R・ナイトの復元画は、恐竜学の草創期のもので、今となっては科学的な考証が正確ではありません。私などは、中学校の図書館で見た「人類以前」という図鑑に衝撃を受けました。 これは見開きに1枚の復元画が掲載されています。皆さんがどこかで見たような有名な絵も結構あります。(少年誌などが構図を流用?)
チェコ人のゼネック・ブリアンという画家で、日本語版は、とっくの昔に絶版です。大学生の頃に、近くの古本屋で入手できたのは、いまでも奇跡だと思っています。その後、オリジナルの洋書版やもう一冊予備(?)を入手しました。もちろん、この復元図も、すでに過去のものとなり、いまや、立ちタイプだったティラノザウスルスも横向きタイプに変わり、ブロンドザウルスは消え去り、別の名になった恐竜は、長い首と尻尾を天秤棒のように張って歩行しています。あまつさえ、羽のある恐竜像が大手を振り始めています。放送でも言っていましたが、恐竜は科学的発見により変わり続けるのでしょう。
そういえば、懐かしい映像もありました。ニューヨーク博覧会にディズニーが出展したロボットの恐竜達です。すっかり忘れていましたが、子供のころ、テレビで見たシーンを思い出しました。口を揉むようにして木の葉を咀嚼しているのです。それにしても、あのウォルト・ディズニー本人が司会するTV番組はなんという番組名でしたかなあ?。確か、4つの分野に分かれていました。おとぎの国が楽しみだったような気がします。ウォルト・ディズニー本人の前説場面だけを集めたのをDVDで出さないでしょうかねえ。
しかし、本当に、アメリカ人は恐竜が好きです。こんな番組が日本で製作されることはないでしょうし、内容自体も、かなりマニアックで、過去の報道記録映像や紹介する映画やTVの作品なども製作会社の枠を超え、膨大な情報を集めています。その姿勢は半端じゃないです。N先輩、まことに、楽しい作品を頂き、ありがとうございました。この場を借りて、御礼まで。
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