ベオウルフ
いつもことながら、特に下調べもせずに、「ベオウルフ」を観て来ました。私の好みの「ファンタジー映画」のジャンルながら、余り期待もせずに素直に見てきました。
ドラマの前半、主演者も共演者も良くわかりませんでした。王様のアンソニー・ホプキンスがやけに太った扮装や容貌で演じていますし、ジョン・マルコビッチも特殊メイクのような雰囲気です。主演の方は、名前も顔も存じません。えらく調子のいい肉体派のヒーローです。そして、前半に登場する怪物「グエンデル」は、出来損ないの醜い姿です。この怪物が暴れるのですが、実写ではあるものの、CG技術まるだしの、アメリカ漫画の動きそのままで、リアルさがありません。さらに、カメラ目線があまりに自由自在に動きすぎて、疲れました。(ヒッチコックの真似は見飽きました。)前半は、少しどころかかなり引いていました。
ところが、中盤、「グエンデルの母」の魔物が登場するにいたって、俄然、面白くなってきたのです。この母をアンジェリーナ・ジョリーが演じています。この女優さんは、顔かたちなど私の好みではなかったのですが、この魔物には参りました。CG技術とあいまって、まさに人でないという妖艶さを見事に出しています。登場シーンはわずか(出演日数は3日?)ですが、この人の主演映画かとも思えるほど、インパクトと美しさは強烈です。是非、ご覧ください。これほど、女の魔物を見事に描いた映画は知りませんゾ。
そして、もう一つ驚いたのが後半の描き方です。一挙に歳月が過ぎるのです。名作「生きる」や「関の弥太っぺ」のように、まさに映画ならでは「すっとばかし」のストーリー展開が見られます。この歳月の流れを見せる男優女優の老けのメーキャップがやけにリアルなのに感心しました。(もっとも、これらはすべて新技術だったのがパンフレット見てわかりましたが、これは後ほど種明かしします。)
後半の主役は、金色のドラゴンです。まさに、一つ首のキング・ギドラの迫力です。残念ながら、ドラゴンとの戦いは、最近いつも目にするような映像で余り驚きません。(しかし、こういう映像が当然のようになると、ますます、東宝のぬいぐるみ怪獣は生きていけませんなあ。続ALWAYSの道を進んでほしいものです。)
話し全体は、悪魔との契約などの欧米の伝説を映画化したもので、因果応報の視点から、伝説の断片をうまくつないで脚本になっているようです。パンフレットを買って(700円)、わかったのですが、監督はゼメキスでした。そして、実験好きの監督らしく、モーション・ピクチャー撮影を進化させた最新技術で撮影をしたといいます。俳優は、何も無いところで、無数のセンサーを付けたスーツを着て演技するのだそうです。表情や動きがコンピュータで取りこまれ、映像になるようです。当然、服装も、体格も自由になります。実際は、標準的な背でずんぐりした体型の主演男優などは、身長が伸び、立派な筋肉質の体格になり、若さも取り戻した勇者の姿になるのです。これには驚きました。老けるどころか、若返っているのですから・・。アクションが少々漫画的で荒唐無稽なことなどには、この際、目を瞑りましょう。
映画撮影方法の新たな時代が始まります。なにしろ、演技する舞台があれば映画が作れるようになるのですから驚きです。背景もそして衣装も不要です。最後は人も不要になりそうで、この辺、俳優協会らともめそうですねえ。 この舞台裏の話は、DVDが発売された時に、オマケのスペシャル版に期待したくなります。早く、発売しないかなあ。
ということで、まったく期待せずに見ましたが、アンジェリーナの魔性に魅入られました。お見事です。
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