先日、スキヤキ・ウェスタンなる映画を見てきました。マカロニ・ウェスタンの日本版なのでしょうが、何故、こんな映画を製作したのでしょう。私の具体的な評価は差し控えますが、上映途中で隣の老夫婦が席を立って出て行ったのには共感しました。もともと、マカロニ・ウエスタンは、イタリアの監督セルジオ・レオーネが、アメリカの売れない俳優クリント・イーストウッドを使って、我が黒澤明監督の「用心棒」を盗作し、「荒野の用心棒」を製作したところ、全世界で大ヒットしたことからブームになったのです。アメリカでは、こうしたイタリア西部劇を「スパゲッティ・ウエスタン」と呼んだのですが、我が国では、かの淀川長治氏が語呂が悪いと「マカロニ・ウエスタン」と呼称したのです。まさに慧眼です。
ともあれ、この「荒野の用心棒」は元祖には及びませんが、どうしてなかなかの傑作です。誠に上手く黒澤時代劇を翻案しております。ラストの鉄板は、出刃包丁にも匹敵するアイディアです。それから四半世紀も後のことになりますが、「バック・トゥ・ザ・フーチャー3」でイーストウッドの名前とこのオチが引用されており、ややさげすまれていたアメリカ本国でも、やっとマカロニ・ウェスタンが定着したかと、封切り当時、感慨深かったような記憶があります。もっとも、大スターとなったクリント・イーストウッドの映画だったせいかもしれません。(多分そうなのでしょう。実は、私も、この背の高い俳優の主演のマカロニ映画しか見ていませんから。(笑))
そのイーストウッド主演2作目が、「夕陽のガンマン」です。何故、「続荒野の用心棒」ではなかったのか。そうです、他の映画で既に邦名を使われていたのです。原題を「ジャンゴ」。 スキヤキの元ネタの一つです。ぬかるみの荒野の中、棺桶を引きずったフランコ・ネロは大スターになりました。この棺桶も抜群のアイディアです。ただ、この映画で残酷描写は一気に加速化します。(といっても、吐き気の出るような変態的な嫌悪感まではありません。)「夕陽のガンマン」の方も快調です。ポンチョや銃器なども道具立ても揃い、映像も、足のアップから遠くに相手が立っている独特の構図など、マカロニ・ウェスタンのスタイルが形作られています。
そして、「続夕陽のガンマン」です。これは、オリジナル脚本で、マカロニウエスタンの歴史の中で私の一番のお薦め作品です。南軍が北軍に変わるシーンなど意表をつくアイディアと先の読めないストーリー展開。私、何故か、旅先の観光地倉敷の映画館で見た記憶があります。イタリア映画にしてはなかなか物量も大きく、迫力もあります。DVDのメイキングを見ると、スペインロケで、軍隊の協力もあったようですが、なかなか撮影現場は大変だったようです。苦労が絵に反映されています。(笑)
先ほどもお話したように、このセルジオ・レオーネ監督作品以外のマカロニ映画は、実は余りみていません。何故かというと、当時軽業芸で人気のあった俳優の映画などは、銃の時代考証があまりにもめちゃくちゃという批判が多く、当時それがひどく気になったのです。
とはいうものの、何かの併映で見たのですが、婆さんから子供まで家族全員で悪漢達と撃ち合う映画がありました。年でよいよいのような婆さんが、突然、開き戸に仕込んでいた複数のライフルを取り出し、凄く元気に撃ち回るという場面のみを鮮明に覚えています。それ以外、題名も出演者も筋書きも全く覚えていません。どのたか、なんと言う題名の映画だったか、ご存知ありませんでしょうか。(ちなみに、「アウトロー」ではありません。)最近、何故か、気になって仕方ないのです。
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