イルマーレ
タイムトラベル物に少しこだわっています。
ラストの能天気ぶりに茫然自失となった「デジャブ」を紹介した時に、少し触れましたが、「イルマーレ」のラストも相当なものです。主演は、「スピード」の黄金コンビであるキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックです。この映画のうたい文句は、ファンタジー・ラブストーリーとかいうもので、2年という時の壁を越えた、ある意味では遠距離恋愛というべき物語です。ストーリーは、ある湖畔の家に、時を隔てて住んだ2人の男女が、その家の郵便受けを介して、過去と未来からそれぞれ手紙をやり取りしながら、本物の恋に陥るというものです。いわば、郵便受けがタイムトンネル(同名のTVドラマは懐かしい・・・もっともこれはまた別の話ですが)なのです。
この映画は、主人公の飼い犬の行動が若干腑に落ちませんが、まあ、動物ですから、多少は大目に見ることとして、何とか二人が出会おうとする場面など、途中経過はなかなか楽しいものがあります。しかし、冒頭とラストの設定の能天気ぶりには、凄まじいものがあります。この脚本家は辻褄合わせ等、一切念頭にないと思います。これだけ、ケツをまくられると、いっそ潔いかもしれません。しかし、まあハッピーエンドですから、安心して見てください。実は、オチ以外は、なんとなく好きなのです。なお、タイトルは、劇中に出て来るレストランの名前です。由来は見てのお楽しみに・・・。
そういえば、邦画でも「メトロに乗って」とかいうタイムトラベルものがありました。未見の方は、後味の悪さでは最上の部類ですので、できたらご覧にならない方がよろしいですヨ。主人公達が、突然何の理由もなく、原因もわからず、過去に戻るという荒業を用いて、タイトルとは似ても似つかないほど悲しい男女の宿命をこれ以上救いはないほどのラストで締めくくる内容です。しかもその悲劇は、時間の流れには、ほんのわずかな違いしか生まれていないという無情なオチにも絶句します。よくまあ、こんな救いの無い内容の原作や映画を作ったと、ある意味、その強靭な心根には感心します。
こうしてみると、やはり、あの名作「バック トゥ ザ フューチャー」3部作が懐かしく思えます。特に、1作目のストーリーが絶品。わずか20年(?)ぐらい前の過去に行くという設定が、素晴らしいのです。文化や価値観の差を絶妙なギャグにしています。丁度、大統領が元俳優のレーガンの時代でしたので、過去の世界でその説明をすると「じゃあ、副大統領はジュリー・ルイス(喜劇俳優)か」という台詞には、本当に笑いました。こうしたギャップによる知的な笑いが盛りだくさんです。また、過去を変えると、未来に影響が即時に出て来るという設定も理屈だなあと妙に納得しました。最近の映画では、脚本家が無能で馬鹿なのか、観客が幼稚になったせいか、嘘でも論理上の辻褄あわせをしようとする意思をまったく放棄しているのは、困った現象です。また、違った意味で三作目も良かった。当時の西部のリアルさも良く出している感じがしました。もっとも、二作目の未来社会は、お定まりのチープさで、このシリーズ物の中では最も出来が良くありません。 それにしても、最近の雑なつくりを見ますと、もう一度、見直したくなりますなあ。
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