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2007年3月25日 (日)

ミクロの決死圏

Dscn6916 またまた、懐かしい映画から、「ミクロの決死圏」です。脳手術を行うために、潜航艇とともに、人間を縮小して、患者の体内に送り込むという奇想天外なストーリーです。一時、手塚治虫の漫画の盗用とかいう噂がありましたが、どうなったのでしょうか。当時、実写でできない、やっかみのような気がしたのを覚えています。そのストーリーはともかく、人体のセット・美術が凄い。手間隙をかけた縮小プロセスの後、いきなり出現する血管内の美しい光景。そして、心臓の動き、肺のセット、あの黒い岩のようなゴミがいい。耳の中(器管名を思い出せない。(笑))、どれを取っても、ため息が付くほど美しいものです。あの画家のダリが手がけたという噂も本当だと思います。とても、今のCGでは、再現できないセンスです。また、潜航艇のデザインも良い。そして、やはり、なんといっても、ラクエル・ウェルチが良い。血漿に襲われる場面も用意されているなど、きちんとツボを抑えています。ウェットスーツで隠されていても、体にまとわり付いた結晶を取り除くサービスシーンもあります。(笑) それにしても、何故、患部近くに注入しないのか、何故、あんな危険な遠回りをする必要があるのか、疑問に思いましたが、・・・答えは簡単です、見せ場のためです、はい。(笑) ともかく、傑作です。

 それにしても、ラクエル・ウェルチは、SF映画が良く似合う。「恐竜百万年」のビキニ姿のなんと輝いていることか。西部劇のポンチョ姿の主演のときより数倍素晴らしい。オマケで、恐竜百万年のキットの素組みを公開します。(彫像的で、気に入っており、下手 に塗装する勇気が出ません。) Dscn6551_1 Dscn6553_2

2007年3月24日 (土)

ブロブ

Dscn7047_1 「ブロブ」とは、英語で、”粘り気のある塊”という意味らしい。「ブロブ 宇宙からの不明物体」という映画がありました。正体不明の「ブヨブヨ」の物体が、人間を襲い、巨大化して、田舎町をパニックに陥れるストーリーです。典型的な巨大モンスター映画であり、そして、この手の映画の出来を左右するのが、そのブヨブヨ・ドロドロのリアルさです。まだ、公開当時は、CG技術が定着する前の頃であり、その創意工夫した特撮技術には、当時、結構好感を抱きました。特に、食堂のキッチンの小さな排水口から、コックがブロブに吸い込まれて行く場面は、白眉です。まだ、DVD化されていませんから、ビデオ(写真)でご鑑賞ください。もっとも、この映画のタイトルは、その内容を正確に現していません。(はっきり言えば、嘘つき、です。)

Img 実は、この映画はリメイク作品であり、そのオリジナルの映画、原題は、当然「ザ・ブロブ」なのですが、邦題は、「マックィーンの絶対の危機 人喰いアメーバの恐怖」というとんでもない題名なのです。DVD化しても、この題名です。なんとか出来なかったものかねえ。スティーブ・マックィーンの初主演作と名乗っても、いまはそう、インパクトがあるとは思えませんが・・・。ところが、この妙な邦題に比較して、内容自体は、なかなか楽しいものです。古き良きアメリカの時代と、懐かしいSF映画を味わうことができます。是非、ご覧ください。この映画は、DVD化されています。(2枚目の写真)

Img_1 このほか、ドロドロの怪物は、ハマー・プロの「怪獣ウラン」にも、ゼリー状の怪物が出てきます。ビデオ化(3枚目の写真)のみです。

しかし、ドロドロ、ブヨブヨの形では、いかに、モンスター関係のガレージキットが好きなアメリカでも、モデルキットの発売は無いでしょうねえ。いや、ひょっとして、あるかもしれません・・・。(もっとも、買う気はありませんが。(笑))

2007年3月17日 (土)

2001年宇宙の旅

いまや、不朽の名作と位置づけられている「2001年宇宙の旅」のお話です。子供の頃、封切館で見ました。2001

その時の率直な感想は、なんとも映画らしくない映画だということです。冒頭の夜明けのシーンから、舞台劇風で、静寂で、冷たく、天から見下ろしたような雰囲気の映画です。猿人のスーツも、当時としては、リアルで画期的なもののようですが、同時期の「猿の惑星」の方が、格段に見栄えがしました。そして、もっとも驚愕させられたのは、クラシック音楽をバックに、大画面に映し出された、宇宙船、宇宙ステーション、月の基地、探険車などの映像です。模型を使った特撮と頭ではわかっていても、どうみても本物としか思えないのです。光と影の極端な陰影、逆光で輝く小さな光源、背景の漆黒の宇宙など、リアルに描いています。東宝の青い宇宙に慣れていたので、「嗚呼、宇宙は暗いんだ」と改めて感心しました。そして、木星探険の精子型宇宙船の船体は、どこまでも延々と映し出されたのです。(この模型は一度作ってみたいなあ・・・。)

 当時、最高水準と信じていた東宝円谷特撮は、一瞬にしてB級ランクに転落です。糸の見えるロケット、オモチャのような質感、U字になるロケット噴射の花火、のっぺりと見える照明技術、とても、比較になるものではありません。そして、この映画で、初めて、スタンリー・キューブリックという監督の名を覚えましたが、映画自体は、なんとも言うのか、映画的な感動が無いのです。映像美には圧倒されましたものの、何の説明も無く、ほとんどストーリーも無いせいでしょうか、不思議なことに少しも感動を覚えませんでした。それよりも、ラストの白い部屋に影が全く無いことが気になってしようがありませんでした。(笑) 

 もっとも、その後、撮影裏話などの情報が流れ始めてから、この映画では、とんでもない、気の遠くなるような撮影方法が実施されていることを知りました。もちろん、様々な撮影の工夫、例えば、無重力で浮くペンがガラス板利用とか、天井から吊った人を真下から撮影し、ロープを見えなくするなどの小技も使っていますが、なにしろ、この映画以降も、コンピュータ技術が進み、SWでやっと使用されるまで、原理はわかっているものの、誰も真似しようとしなかった代物です。おそるべきキューブリックとしか、言いようがありません。加えて、原作者のアーサー・C・クラークの力でしょうか、HALの名称の由来、精子型宇宙船のデザインの比喩、バックライトの部屋の謎など、思索に満ちたイメージが徐々に広がり、いまや、ご存知のとおり、映画史上に残る名作と評価されています。個人的に言えば、技術的にも、映像的にも、エポックメーキングな作品ではあることは間違いないですが、いわゆる「MOVIEという映画」から、単なる映像絵巻に退化したのではないか、と思います。スターチャイルドのように・・・(ん?進化)

ところで、いまは、もう西暦2007年です。あの当時、21世紀ははるかに遠い、明るい未来に思えました。しかし、もう6年も過ぎているのです。思えば、長くて古く、なりました・・・(笑)

2007年3月11日 (日)

ブレードランナー

Dscn6676_1 SF映画の傑作「ブレードランナー」を忘れていました。もっとも、その内容については、私から詳しく紹介するまでもないでしょう。それまでの「明るい未来社会像」をぶっ飛ばした映画です。シド・ミードの美術に加え、凝った撮影技術と特殊効果が、見たこともない、しかもリアルな映像を創造しています。また、ストーリーも、珍しく、大人向けのSFエンタテイメントです。そして、出演者も適役が見事に揃いました。

まず、レプリカントのリーダー役の「ルトガー・ハウアー」が主役のハリソン・フォードを食いました。全身にみなぎる雰囲気と凄みが見事です。その後、主演映画が続くなど、幅広く活躍しています。しかし、まさか、米国版座頭市を演じるとは思いませんでした(笑)が、それも含めて、私のご贔屓の一人になっています。

そして、極め付けが、レイチェル役の「ショーン・ヤング」の美しさです。整いすぎた容姿、変てこな髪型なども含めて、なにか人工的に造ったのではないかと思えるほど、人間離れをしています。もっとも、それがドラマの伏線にもつながっているのですが、髪を解くシーンなど、ため息が出ましたなあ。(しかし、まさか、実生活では、とんだトラブル女優さんとは、この時は想像もできませんでした。)この女優さんの、その後の良い話はあまり聞きませんねえ。こうした出演者の演技のほか、美術、特殊効果、台詞、ハードボイルな展開などを通じて醸し、描き出すその独特な美学、雰囲気は、まことに、傑作の名に恥じません。

 ただ、この映画は、一体、何通りのバージョン(版)があるのでしょうか。LD化やDVD化に際して、このリドリー・スコットという監督は、エンディングなどが違うバージョン・版を何種類も作り出すのです。いわゆる「ディレクターズ・カット版」というものでしょうが、この映画の場合、「完全版」とか、「最終版」とか、数多くあるようです。私としては、エンディングで、レイチェルらに関して明るい未来を予感させるナレーションが付いた「劇場公開版」(もっとも、これも、日米で違うらしい。)を見たいものです。発売されたDVDは、ナレーションも無く、一角獣(ユニコーン?)が登場するバージョンの「最終版」です。どうやら、絶版のLDがナレーション付きの「劇場公開版」らしい。ともかく、一角獣を追加する(意味も意図もわかりませんが・・・。)監督の芸術的な思い入れはあるにしても、観客の立場からすれば、加えて、レイチェル・ファンからしても、劇場での一期一会の素晴らしい思い出を、後から、悲しい結末に転換するなど、観客を無視した乱暴な、勝手な行為は止めてほしいものです。(きっぱりと。)  それにしても、最近は、DVDを売るためでしょうか、すぐに、ディレクターズ・カット版を出しますが、迷惑至極ですなあ。困った風潮です。

2007年3月10日 (土)

地底探険

Dscn6827 どうも、昔見た古い映画の話ばかりになりますが、今回は、ジュール・ヴェルヌ原作の映画「地底探険」です。子供の頃、少年少女ジュール・ヴェルヌ全集なる読物で、「海底2万マイル」「地底探険」などの奇想天外な空想話に夢中になっていました。そのご贔屓の映画化であり、ほぼ、原作どおりのストーリーです。そして、当時の立て看板のポスターの端には、確かに、翼竜や恐竜が描かれていたのを記憶しており、期待を胸に劇場に行ったのですが・・・・・。登場したのは、生きたトカゲの背に帆を付けたり、色を塗ったりして撮影したオオトカゲでした。しかし、意外にも、海辺の群れは、なかなか迫力がありました。古代のオオトカゲの生き残りと割り切れば、腹も立ちません。Dscn6401 ちなみに、世間(?)では、何故かモデルアニメーション以外は、着ぐるみも含めて下に見るような傾向がある気もしますが、どんなことでも、最も映像効果の出る手法を使えばよいのです。(逆に、あのモデルアニメーションの神様ゆえにか、晩年には、普通の動物をわざわざアニメートするという愚を犯して、逆効果になっていました。)写真は、映画のイメージであろう、ディメトロドンのレジンキットを完成させたものです。(日本のメーカーのものです。)

 地底につながる立て穴のセットは、砂の底なし沼、石の橋、巨大なキノコ、地底の海など、大変良く出来ており、特に、地底のオアシスのような宝石や結晶の泉は、子供心に美しく焼きついています。しかも、その美しい石を盗んだ(?)ために、バチがあたったような危機の到来です。悪いことをしてはだめだとの教訓にもなりました(笑)。

 しかし、この映画でもっとも不思議だったのが、ガチョウの羽の小屋です。当時は、羽根布団などを知る由もなく、何のために、あんなに大量の羽根を毟っておくのか、不思議でなりませんでした。後年、ビデオで見たとき、やっと得心がいきました。(笑)

 また、ビデオで再見して、男女の複雑な心理を描いていることにも、驚きましたが、古き良き時代の空想科学映画です。ジュール・ヴェルヌの原作を映画化した中でも、上出来の部類です、一度、ご覧ください。

2007年3月 8日 (木)

ハイランダー 悪魔の戦士

Dscn6664 映画「ハイランダー」は、首を刎ねられない限り、死ぬことのない不死者達の抗争の物語です。主人公の「マクラウド」は、中世から現在まで生き続けており、悪魔として仲間から追放されたり、寿命の差による愛する妻との別れなど、不死ゆえの悲しさや辛さ、そして時代を超えて生きる孤独を描いています。また、剣戟も、見せ場が沢山あります。

しかし、それ以上に、この映画の大きな魅力は、中世の風景や生活感をリアルに、かつ美しく映像化していることではないでしょうか。余談ですが、いつ頃か、西洋のコスチューム映画(いわば西洋時代劇)は、かつてのハリウッド映画のようにピカピカできれいな世界ではなく、あくまで、リアルさを感じさせるセットや小道具、扮装などによって、生活感(特に、近代以前の衛生観念の無さや残酷さなどはよく実感できます。)を出しています。個人的には、リチャード・レスター監督の「三銃士」「四銃士」「ロビンとマリアン」などから意識し始めました。王様や村の暮らし、剣劇アクションなど、いかにも・・という感じで素晴らしい。邦画で言うと、東映時代劇と黒澤時代劇の差ぐらいあります。

ともかく、この「ハイランダー」においても、中世の、いかにもその時代という描き方があったらこそ、現代の抗争が活きています。また、ショーンコネリー扮する師匠が絶品です。扮装、仕草、台詞回し、この俳優は、年を取って(つまり、頭が禿げて)ますます魅力を増しています。なお、日本刀が外国でこれほど高く評価されているとは思いませんでした。それにしても、何世代も、人間社会でひっそり暮らし続けるのは、手間も苦労もかかるものだと、妙に実感しましたが、もっと他の方法もあるのではと、くだらぬ空想にもふけります。ましてや、不老不死なら、骨董になるお宝を自分で収集し、後世に伝えることができるのにと、くだらぬコレクター根性が首を持ち上げます。(笑)ただ、すべてのハイランダーが何世紀にもわたり求め続けて、殺し合った「究極の力」があんなものでは、皆、浮かばれないなあ・・。

などと述べるのも、映画としては様々な欠点があるのですが、この不老不死の物語は、私のお気に入りの「お話」の一つなのです。いまでも、「マクラウド」と聞くと、ドキッとします。

 ちなみに、私のようなファンも結構多いようで、続編も、2作品(第1作以外は見ないほうが夢が壊れないですよ。)ほども作られましたし、主人公のフュギュアなども発売されています。(私、持っていません、念のため。)未見の方は、一度、DVDでご覧になって、子供にかえったつもりで、様々な空想に浸る時間を持つことも楽しいですよ。(笑)

2007年3月 7日 (水)

ベム(BEM)

ベム(BEM)とは、Bug Eyed Monsterの略語であり、直訳すれば、「昆虫の目を持った怪物」であり、スペースオペラの作品では、通常、「大目玉の怪物」と訳されています。初期のSFのパルプマガジンなどの表紙に、美女を襲う姿で登場していました。(Big Eyed・・ともいうようです。)

 映画の世界では、やはり「宇宙水爆戦」に登場する「メタルーナ・ミュータント」が、いかにもベムのイメージにぴったりです。この映画とベムは、以前にも記事として取り上げましたが、私のご贔屓の怪物ですので、いくつかのフュギュアを所有しているにもかかわらず、性懲りもなく、またまた製作してしまいました。

Dscn6351_2 Dscn70731 今回製作したのは、ジオメトリック社のレジン製のバストキットです。この「メタルーナ・ミュータント」は、昆虫の目玉、露出した巨大な脳みそ、体表を這う血管、四肢も昆虫の節と衣服が融合したユニークな姿で、ベムの条件をすべて満たしており、一度、見たら忘れられません。しかし、その体色たるや、メタリックに輝く青色の体表に、真っ赤な血管が絡みついている、大変どぎついものです。キットを塗装するには、なんとも難しく、やっかいなものです。一つ間違えると、完全なおもちゃのようなモデルになってしまいます。今回は、銀色に光る青色と彩度を落した赤色を工夫しました。塗るべき血管も多く、製作日数も予想以上にかかってしまい、作り手の血管が切れそうでした。完成したものは、写真のとおりですが、出来はいかがでしょうか。なお、オマケに、違う角度の写真も添付します。Dscn70711 Dscn70771 Dscn7070                 

映画のほうも、ご覧ください。レトロな感じがなんとも楽しいです。

ところで、SFアートの世界では、エド・カーティアの描いた「星間生物園」の異星生物のイラストが白眉です。この見事なイラストをどこかで立体化して発売してくれないかなあ。多数の地球外生物のイラストは、ため息をつくほど素晴らしいものです。私が最も好きなベム達のイラストです。まだ、ご存じない方は、野田昌宏の「図説 異星人」(河出書房新社)を是非ご覧ください。「SFは、絵だねえ」という帯のキャッチフレーズは、そのとおりです。付け加えるなら、「モンスターも、デザインだねえ」と。

2007年3月 6日 (火)

魔界転生

Dscn6987 奇想の作家、山田風太郎の小説を映画化した「魔界転生」という作品があります。「いきなり、時代劇かよ。」という疑問もあろうかと思いますが、この映画は、天草四郎の妖術で地獄から甦った(魔界転生した)剣豪達が柳生十兵衛と戦うストーリーで、いわば立派なSF映画なのです。第一、それらの剣豪達は皆怪物化しており、一種のモンスター映画ともいえます。

 今回の話題は、前回までのオールスター映画というネタからの連想です。原作の小説「魔界転生(もともとは「おぼろ忍法帖」のタイトルを角川書店版から改名したもの)」は、生きる時代の違う剣豪が一堂に会すれば、誰が一番強いか、という剣豪オールスターの物語です。「もし、戦えば」というファンの夢を小説にしたものともいえます。

 宮本武蔵、柳生兵庫、柳生宗矩、荒木又右衛門、宝蔵院胤舜、田宮坊太郎など、有名な剣豪が登場します。(何人知っていますか?)主人公の柳生十兵衛は、各剣豪の強さを計る、狂言回しです。小説自体は、甲賀忍法帖、風来忍法帖と並ぶ大傑作と思います。

 余談ですが、忍術を忍法という言葉に代えたほど一世を風靡した「風太郎忍法帖」シリーズですので、映画や漫画などに大きな影響を与えており、いまなお、漫画「バジリスク」などの原作として使われています。特に甲賀忍法帖は、古くは、不死の忍者「薬師寺天膳」が「伊賀の影丸」に登場する「天野邪鬼」等に、また、小山春夫作の「真田十勇士サスケ」の敵役「クラゲ」にも大きな影響を与えています。特に、現在、刊行中の「小山春夫選集」へのズバリ「甲賀忍法帖」の復刻を首を長くして待ち望んでいます。(アップルBOXクリエート、猫目書房さん、よろしく。)

 さて、映画の方は、当初予定していた五社英雄監督が、不祥事で頓挫、代わりに深作欣二監督が撮っています。個人的には、このことが痛恨の極みです。三匹の侍を世に出し、「御用金」、傑作「人斬り」や「雲霧仁左衛門」など、時代劇に強い思い入れのある五社監督に是非映画化してほしかったのです。あの凄まじい殺陣と血糊、あくの強い演出とケレン、どろどろとした雰囲気の「魔界転生」を見たかったのですが・・・。

 しかし、深作演出では、時代劇にそれほどの思いもなさそうで、様式美もなく、凝ったセットも見えず、ストーリーも、殺陣も興ざめでした。唯一の救いは、若山富三郎が演じる、魔界転生した柳生宗矩です。いわゆる「化け猫」のような仕草や幽鬼のような扮装、そして、ホントに舌を巻くほど上手い殺陣、一度、ご覧ください。紅蓮の炎を背景に、梵字に目をそむける一瞬に・・・。絶品です。

 そういえば、封切当時、天草四郎の台詞が有名になりましたが・・・・。

 また、最近、「魔界転生」が再び映画化されました。

Dscn6988 残念ながら、CG技術だけが進歩し、軟弱な殺陣と時代劇に似合わない出演者だけが目立った作品です。まあ、相当な時間の余裕があれば、ご覧ください。

しかし、山田風太郎作品の映画化は、「伊賀忍法帖」や「SHINOBI」に代表されるように、また、エロチックさを売り物の東映ビデオ映画などを見ても、なかなか作品に恵まれません。もっとも、奇想天外な小説は、映像化自体、困難なものかもしれません。原作を改竄せず、忠実に、映像化した映画を是非見たいものです。特に、「甲賀忍法帖」の伊賀・甲賀の各十忍の怪物たちを。さらに言えば、不死の忍者の復活の場面を・・・。(余談ですが、小説の名シーンです。)

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