ドラキュリアン
「 ドラキュリアン」、どうしてこんな邦題なのでしょう。またもや、題名への不満からの書き出しですが、原題は、「THE MONSTER SQUAD(怪物特捜隊)」と、映画の内容を良く現しています。登場するモンスター達は、ドラキュラを筆頭に、フランケンシュタインの怪物、狼男、ミイラ男、そして、半魚人と、往年のユニバーサル・モンスターが勢ぞろいです。この怪物オールスターを、少年達のチームが退治するという、お子様向けの映画です。しかし、内容はともかく、いわばお蔵入りしていた、かつての有名な怪物達を、現代に甦らせようとした試みは高く評価したいと思います。フランケンシュタインの怪物は、ボリス・カーロフ系の正統派であり、狼男も、ハマー・フィルムの吸血狼男風で、好感が持てます。ただ、ミイラ男は、包帯がすべて巻き取られて消滅する最後などは新機軸ですが、本物のミイラに似せたのか、大変小柄で貧素なうえに、片足を引きずる動きは、モンスターが持つべき威圧感が全く無く、計算違いと言わざるを得ません。ドラキュラは、演ずる俳優の格のせいか、問題外の出来でありましたが、3人の女吸血鬼をスローモーション風に衣装を靡かせながら登場させたことが、当時、非常に新鮮でした。また、現代社会では、解決への鍵を握る「処女」が「幼女」しかいないなど、皮肉なギャグも笑えます。
しかしなんといっても、この映画最大の功績は、半魚人を三十数年ぶりにスクリーンに登場させたことです。しかも、まだ、実写では一度も共演したことが無い、三大モンスター(ドラキュラ、フランケン、狼男)との競演です。半魚人マニアの私にとっては、真にうれしいことです。同じユニバーサルのモンスターにもかかわらず、出身地(南米)や生息地(水中)で差別されるのか?とやや不満でした。(笑)
しかし、残念なことに、デザインが変わっていました。まるで水棲のブルドッグのような醜い姿なのです。あの芸術的といってよいほど美しい優美なラインはどこにもなく、ただ、不細工に膨れた貪欲なカサゴの怪物です。全くもって残念です。オリジナルへの敬意を表してほしかったものです。この時のデザイナーが、有名な造型師でもあるスティーブ・ワンということでした。以来、私としては、オリジナルに操を立てて、その作品は極力敬遠しております。なんとなく、肌感覚やセンスが合わないのかもしれません。(勝手な思い込みです(笑))
この映画は、まだDVD化しておらず、ビデオ(写真)とLDで視聴できます。
蛇足ですが、人形アニメの「怪物の饗宴」という映画で、既に、半魚人は、三大モンスターなどの有名どころと共演しています。ラストでは、キングコングまで登場します。ただ、この映画でも、半魚人のデザインは、まったく異なるもので、がっかりした記憶がありました。この映画は、海外版DVDしかないようです。機会がありましたら、ご覧ください。
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