無料ブログはココログ

« 2007年1月 | トップページ | 2007年3月 »

2007年2月27日 (火)

凸凹フランケンシュタインの巻

Dscn7064 ユニバーサル・モンスターのオールスター映画といえば、「凸凹フランケンシュタインの巻」という映画がありました。この映画は、怪物映画の人気が下火になり、アボット&コステロという当時の喜劇俳優コンビの人気にあやかろうとした企画でした。しかも、かつて一枚看板を張ったモンスターたちとのコラボレーションです。出てくるモンスターの俳優が凄いメンバーです。元祖ドラキュラ俳優の「ベラ・ルゴシ」扮するドラキュラ。ボリス・カーロフの正統後継俳優「グレン・ストレンジ」のフランケンシュタインの怪物。狼男は、そのまま「ロン・チャイニー・ジュニア」という豪華布陣です。また、声だけの透明人間が出演していました。ただし、初代の「クローズ・レインズ」ではなく、二代目の「ヴィンセント・プライス」でした。ともあれ、本物の俳優演じる本格的なホラー・コメディというふれこみは、間違いありません。ボリス・カーロフが出ていないのが、悔まれます。噂によると、ボリス・カーロフがマッドサイエントを演じた「フランケンシュタインの館(未見です。)」から始まったモンスター競演の最後の作品とのことでした。

 もっとも、現在の目で、そしてコメディ映画として観たら、そんなに面白くもなく、かつての本物の俳優が演じた本格的なモンスターが登場することに意味があるような気がします。個人的には、ホラー・コメディのお勧めは、「ヤング・フランケンシュタイン」と「ドラキュラ都へ行く」と「ロマン・ポランスキーの吸血鬼」の三作品です。

 しかし、オチメになると、オールスター映画が流行ります。かつて、怪獣映画ブームの終焉時に「怪獣総進撃」という怪獣オールスター映画を見て、思いっきり、こけた記憶があります。ファンの夢は夢でそっとしていたほうが幸せというものかもしれません。

 最後に、ユニバーサル・モンスターのオールスターにちなみ、フィギュアのセットを紹介します。サイドショー社の「リトルビッグヘッド」というシリーズです。写真は、有名ですので逐一紹介しませんが、右端は「ロン・チャイニーのオペラの怪人」です。このシリーズには、そのほか写真には載せていませんが、「ロン・チャイニイーのノートルダムのせむし男(彩色版はレア)」と「メタルーナ・ミュータント」他があります。

Dscn7066 Dscn7067

少し頭でっかちの小さなフィギュア(10cm弱)ですが、なかなかリアルに良くできていまして、特に半魚人に一目ぼれし、初めて買ってしまい、私の転落(コレクター)の道が始まった記念すべきものです。

2007年2月26日 (月)

ドラキュリアン

Dscn7045 ドラキュリアン」、どうしてこんな邦題なのでしょう。またもや、題名への不満からの書き出しですが、原題は、「THE MONSTER SQUAD(怪物特捜隊)」と、映画の内容を良く現しています。登場するモンスター達は、ドラキュラを筆頭に、フランケンシュタインの怪物、狼男、ミイラ男、そして、半魚人と、往年のユニバーサル・モンスターが勢ぞろいです。この怪物オールスターを、少年達のチームが退治するという、お子様向けの映画です。しかし、内容はともかく、いわばお蔵入りしていた、かつての有名な怪物達を、現代に甦らせようとした試みは高く評価したいと思います。フランケンシュタインの怪物は、ボリス・カーロフ系の正統派であり、狼男も、ハマー・フィルムの吸血狼男風で、好感が持てます。ただ、ミイラ男は、包帯がすべて巻き取られて消滅する最後などは新機軸ですが、本物のミイラに似せたのか、大変小柄で貧素なうえに、片足を引きずる動きは、モンスターが持つべき威圧感が全く無く、計算違いと言わざるを得ません。ドラキュラは、演ずる俳優の格のせいか、問題外の出来でありましたが、3人の女吸血鬼をスローモーション風に衣装を靡かせながら登場させたことが、当時、非常に新鮮でした。また、現代社会では、解決への鍵を握る「処女」が「幼女」しかいないなど、皮肉なギャグも笑えます。

しかしなんといっても、この映画最大の功績は、半魚人を三十数年ぶりにスクリーンに登場させたことです。しかも、まだ、実写では一度も共演したことが無い、三大モンスター(ドラキュラ、フランケン、狼男)との競演です。半魚人マニアの私にとっては、真にうれしいことです。同じユニバーサルのモンスターにもかかわらず、出身地(南米)や生息地(水中)で差別されるのか?とやや不満でした。(笑) 

 しかし、残念なことに、デザインが変わっていました。まるで水棲のブルドッグのような醜い姿なのです。あの芸術的といってよいほど美しい優美なラインはどこにもなく、ただ、不細工に膨れた貪欲なカサゴの怪物です。全くもって残念です。オリジナルへの敬意を表してほしかったものです。この時のデザイナーが、有名な造型師でもあるスティーブ・ワンということでした。以来、私としては、オリジナルに操を立てて、その作品は極力敬遠しております。なんとなく、肌感覚やセンスが合わないのかもしれません。(勝手な思い込みです(笑))

この映画は、まだDVD化しておらず、ビデオ(写真)とLDで視聴できます。

蛇足ですが、人形アニメの「怪物の饗宴」という映画で、既に、半魚人は、三大モンスターなどの有名どころと共演しています。ラストでは、キングコングまで登場します。ただ、この映画でも、半魚人のデザインは、まったく異なるもので、がっかりした記憶がありました。この映画は、海外版DVDしかないようです。機会がありましたら、ご覧ください。Dscn7065

2007年2月25日 (日)

蝿男の恐怖

Dscn6984 Dscn6985 「蝿男の恐怖」は、物質転送装置の開発中に、間違って、蝿と一緒に転送されたために、頭と右手が蝿になった不運な科学者の話です。しかも、なくなった頭はどこへ・・・。この第1作は、カラー版で、しかも、殺人事件の真相を探っていくうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってくるという、サスペンス仕立てになっています。蝿男の造型は、むしろ、続編の「蝿男の逆襲」の方(2枚目の写真のDVD表紙)が有名であり、第1作目の造型は、あまり話題になりません。ジオメトリックス社から、バストモデルが発売されており、とりあえず完成しましたので、ご覧ください。(今回は、やや手抜きです。)Dscn7062 意外なほどシンプルで、スマートな宇宙人の様です。どうも蝿の持つ、汚らしさや気持ち悪さがありません。その点、2作目のデザインは、蝿らしく、改良されています。しかし、それにしても、人間の頭がなくなって、よく、思考や記憶が残っているものと感心します。それが一番、気にかかったところです。なお、2作目は、モノクロ版に格落ちし、話も余り感心しません。

そして、この2つの映画は、その後、いずれも再映画化されています。「ザ フライ」と「ザ フライ 二世誕生」です。ストーリーは、ほぼ踏襲していますが、造型というか、思想が全く違います。新作の怪物は、原点に戻って、人間と蝿が融合したら科学的(?)にどうなるのかを検討しています。その結果は、遺伝子レベルで変化が起こり、徐々に、人間の体が崩れ、グチャグチャの怪物になります。一見、理屈に合致するようですが、あまりにも、その姿は、醜く、気持ち悪いものになっています。こんな姿を見せられるくらいなら、やはり、クラシックな姿が一番です。例え、蝿頭に知能があったとしても、好みに合わない小汚いモンスターよりは、ずっとましです。 それにしても、最近、世の中には、ゲテモノ趣味(笑)の人が増えたのでしょうか、新作モデルも、結構、発売されています。「ザ フライ」では、変身前から、蝿を想像させる俳優(ごめんなさい。)を使うのも感心いたしませんし、この手の映画は、後味が良いことが大事です。この点でも、さらにイケマセン。

 ところで、全く、別の話ですが、閉鎖中であった洋物の怪物キットのHP「モンスターズ ケイブ」が再開 された模様で、誠に喜ばしい限りです。おめでとうございます。これからも、ちょくちょく拝見させていただきます。このHPは、ガレージキットの草創期からのモデラーの方が運営されており、そのコレクションの数々は、目を見張るものがあります。まだ、ご存知でない方は、どうか、一度、HPをご覧ください。(勝手に推薦して申し訳ありません。)

2007年2月20日 (火)

未来惑星 ザルドス

Dscn6537 惑星と哲学的という言葉から、「未来惑星 ザルドス」を連想しました。巨大な神の顔が空中を飛んでいるシーンが有名です。わけのわからない映画をつくることで定評のあるブアマン監督の作品だけに、生と死の哲学的な課題など、一見、深そうですが、「オズの魔法使い」が伏線となっているなど、実はそうでもないような、良くわからない内容です。まあ、伝説のTV映画の「プリズナーNo.6」を何故か思い出させる雰囲気と、贔屓のショーン・コネリーとシャーロット・ランプリングが主演ですので、結構、気に入っています。DVDが発売されていますので、気の向いたときに、ご覧ください。ところで、あのザルドス像ですが、荒っぽく、チャチな造りですが、なんとも味があります。フィギュアとしてどこかで製造販売していただけないでしょうか。

2007年2月19日 (月)

惑星アルカナル

Dscn7048 「惑星アルカナル」は、有名なSF小説「神様はつらい」を映画化したものだそうです。まだ、原作は読んでないのですが、映画のストーリーを要約すると、「人類が宇宙に進出した時、宇宙の果てで、地球にそっくりな惑星が発見された。が、そこは、中世そのままの未開の社会だった。地球人は、早速観察に乗り出し、偵察員を派遣した。その魔法のような科学力を隠して、社会に溶け込んでいるが、暴力と迷信と無知の中で、その偵察員は、徐々に・・・。」というようなストーリーです。

けっこう、哲学的で、「神様はつらい」という原題の意味がなんとなくわかるような気がします。一方、「惑星アルカナル」とは、なんという無粋な映画名をつけたことだろうと呆れます。この映画の見所は、科学力を駆使した偵察員の超人ぶりや最後のドラゴン、ヘリコプターのことですが、その飛翔も爽快でした。そして、人類の英知は、科学力の進歩だけではない、未開と見える中にも、偉大な思想家や哲学者は居ると主張しています。

一度、ご覧ください。といっても、まだ、DVD化は実現しておりません。ビデオか、LDでお楽しみください。ただし、内容は、少し地味です。(念のため)

2007年2月18日 (日)

マトリックス

Dscn7032 久しぶりに映画「マトリックス」をDVDで再見し、改めて、面白さを確認しました。仮想現実のマトリックス世界の設定がよくできています。法螺話でも、一定の理屈付けもありますし、観客は、奇妙な世界の中で、見たこともない映像表現に驚き、謎解きや素朴な恋愛、そして主人公が救世主になる道を進んでいく姿を楽しんでおればよかったのです。エージェント・スミスの悪役ぶり、黒尽くめのスタイリッシュなコスチューム、アクロバティックなアクション、段々美人に見えるトリニティー(キャリー・アン・モスさん、ごめんなさい。)、そして、蛸かクラゲのようなマシン、雨霰と降り注ぐ弾丸と薬莢の山。静止映像の美しさ、やはり、エポックメーキングな作品は、絵に地力があります。何度見ても、面白いものです。

 そして、この映画は、ラストで、救世主がスーパーマンになったところで、幕を下ろすべきだったのです。第2作と第3作は、無用の長物どころか、付け足したために、第1作目の価値まで下げてしまうという代物です。ともかく、2作目では、様々な謎や手掛かりめいた鍵を投げかけ、次への伏線を張りめぐらせたにもかかわらず、3作目で何一つ解決せず放置したまま、竜頭蛇尾の終わり方をしたのです。どんな奇想天外なアクションや派手な行動を行っても、意味がなければ、面白くも可笑しくもありません。あんな、防御のない馬鹿げた戦闘マシンでは、全滅で当たり前です。ミフネが泣きます。ということで、この現実世界では、「リローデッド」とか、「レボリューションズ」とか言う言葉は存在しません。(きっぱりと。)

吸血鬼映画(その2)

吸血鬼映画の話題を、もう一回。私も好きです。

 異色の吸血鬼映画として、ごった煮の天才タランテDscn7046 ィーノ監督の「フロム ダスク ティル ドーン」があります。題名の意味は島崎藤村か(笑※)。この映画は、前半、狂気でチンケな兄弟の銀行強盗道中記かと思えば、最後は、吸血鬼の巣窟での大立ち回り。下品な上に、スプラッターの血糊ドバの阿鼻叫喚です。全く好みではありませんが、日本の鬼婆伝説や欧米の恐怖の宿屋伝説などに由来する設定や、杭が簡単に刺さることから「吸血鬼は体が柔い」等という台詞の良さが妙に心に残ります。そして、最後のシーン、翌朝の日が昇った周辺の静かな情景は、悪夢の地獄図の後だけに、なんとも素晴らしい。(※薄明かりから夜明けまで)

 SF映画の世界でも、吸血鬼を元ネタにしたお話はたくさんあります。Dscn7026Dscn7035  例えば、「地球最後の男」、チャールトン・ヘストン主演でリメイクして「オメガマン」となりました。これは、人間が極少数となった近未来の世界で、夜行性になった、吸血鬼のような元人間達との抗争を描いています。オチも血の話で締めています。

 また、B級映画ですが、「バンパイアの惑星」という映画もあります。Dscn7042この映画は、ラストのオチが秀逸ですが、未見の方のために、ここでは書きません。まあ、見ることをお勧めする映画でもないですが、アイディアを買いましょう、という意味です。(念のため)

Dscn6653_2 さて最後に、「スペースバンパイア」をご紹介します。 あのモダン・ホラーの大傑作「悪魔のいけにえ」を作ったトビー・フーパー監督のSF映画です。ストーリーは、ハレー彗星に隠れている悪魔のような姿の宇宙人が、人間の精気(生体エネルギー?)を吸い取りに来るというものです。 映画の出来は、冒頭のハレー彗星で、3人の全裸の美男美女が入ったお棺を発見、回収するところまでは、快調でした。ところが、その後は、ストーリー展開が支離滅裂。何の醍醐味もないまま、やたら電磁波を撒き散らすような宇宙人の襲撃やら、どんな混乱が起こっているのか、全くわからない街中のパニック(パニックはそんなもの?)がやたら景気の良い音楽に乗って描き出され、観客は、唖然としたままラストを迎えることになります。「金返せ」とまで言わないのは、ひとえに、裸で頑張った女優「マチルダ・メイ」に義理立てしてのことです。その美貌とスタイルとに敬意を表します。眼を開けた瞬間、あの宇宙飛行士が魅せられてしまうことにも納得できます。ところで、この女優さん、その後、どうなったのでしょう。誰か知りませんか?

 ともかく、吸血鬼を元ネタにした映画は、まだまだあります。Dscn7037 Dscn7039 ただ、最近は、血を吸うシーンが、肉を食うようなスプラッター的なものに変化してきています。私は、ゾンビ映画が生理的に好きではありません。正直に言うと、肉片や内臓をこれでもか、というほど見せ付ける映画は大嫌いです。映像の妙は、観客の想像力に訴えるものです。内蔵までそのまま見せてどうするのか。あの「悪魔のいけにえ」でも直接的な映像表現を極力避けています。だからこそ、あの凄まじい恐怖感が生まれるのです。最近のJホラーでも同じです。(といっても、私、Jホラー作品は一度きりでそれ以降見るのを止めました。心底、生理的に怖い(笑)。)大映時代劇の一瞬の斬り方、見せ方を参考にしてもらいたいものです。

 しかしどうも、最近のハリウッド映画には、そのまま露骨に見せるハードな傾向が強く感じられます。このままでは、黒澤映画の真似をして、ただ大量に血糊を出しすぎた結果、東映残酷時代劇が消えていった歴史の二の舞になるのではないかと危惧しています。(もっとも、それだけの理由でなく、ストーリーに厚みがないことが大きいです。)撮影技術が進歩したことが、かえって、映画の質を落としていますねえ。うん、うん。

2007年2月17日 (土)

吸血鬼映画

Dscn6532_1 映画「フライトナイト」は、新たな吸血鬼映画の先駆けでした。現代社会で、隣の家に、吸血鬼が実在し、それをオチ目の怪奇俳優と学生が退治するという新感覚の映画です。当時としては最新の特殊技術を駆使し、狼男や大蝙蝠への変身を、見事に映像化するとともに、大真面目な恐怖だけでなく、全体的にコメディタッチであることが、なかなか面白い出来になってました。

残念ながら、ヒロイン役の女優が、吸血鬼を惹きつける魅力を備えているように見えないのが難でした。ただ、口裂け女のインパクトや、不死身の召使の死に様、大蝙蝠への変身は、一見の価値があります。また、吸血鬼が住む屋敷の雰囲気、恐怖の空気が良く出ていました。なお、続編もありますが。これは大したことありません。

 それにしても、アメリカは、吸血鬼ものが多いですねえ。それを見ている私も好きですなあ。Dscn6649いわゆるドラキュラではない吸血鬼映画としては、コメディ映画として、ロマン・ポランスキー監督主演の映画、その名もズバリ「吸血鬼」が有名です。シャロン・テートが本当に美しいし、ホモの吸血鬼が登場する初めての映画ではないでしょうか。傑作です。鏡の間の撮影裏話は感心します。

西部劇タッチの吸血鬼映画もありました。B級の大家、ジョン・カーペンター監督の「ヴァンパイア 最後の聖戦」やその続編的な「黒の十字架」などがあります。Dscn7036

西部劇的なというのは、吸血鬼は土の中でそのまま眠り、その吸血鬼を、荒野で砂塵舞うなかで退治するという物語なのです。車のウインチやワイヤーを使った手荒な退治方法なども目新しいし、スプラッターの要素が大きいものの、どこか能天気な映画です。

極めつけは、トム・クルーズやブラッド・ピットなどの人気俳優達の共演で話題になった、ご存知「インタビュー・ウィズ・ザ・ヴァンパイア」Dscn6972です 。ただ、一流映画的な香りが強く、吸血鬼映画の胡散臭さが無いのが気に入りません。それよりも、その続編的な「クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア」がより私の好みに合います。無敵の女王の登場など、何故かわくわくします。Dscn6971    

ほかにも、黒人吸血鬼が主演の「ブレイド」3部作をはじめ異色作が沢山あります。なお、「ブレイド」では、第2作に登場する「吸血鬼食い」が出色の出来です。また、テレビ映画でも、以前から、吸血鬼ドラマがシリーズ化しています。本当に、アメリカ人は吸血鬼ものが好きです。「吸血鬼学」のような評論もありますので、また、機会を見てご紹介します。

最後に、邦画の吸血鬼映画「血を吸う」3部作を紹介します。Dscn6980_1

Dscn6978Dscn6979_1岸田森が2作目「血を吸う眼」と3作目「血を吸う薔薇」に吸血鬼として登場します。 ストーリーや演出は大したことはありませんが、岸田森の存在感だけが光っています。どなたかが言っていましたが、どこか植物的な感じの和製吸血鬼です。しかし、その凶暴さも特筆されます。一度、岸田森をご覧ください。

2007年2月12日 (月)

海底軍艦

  さて、往年の東宝特撮映画から「海底軍艦」です。題名のとおり、海も、空も、地中も航行可能な万能の戦艦が、地上の征服を狙う、ムー帝国と戦うという、円谷特撮が絶好調の空想科学映画です。

Dscn6667 映画の出来よりなにより、この海底軍艦、名前を轟天号といいますが、この万能戦艦が好きなのです。もともと、何故か、子どもの頃から、潜水艦が好きなのですが、この轟天号は、潜水艦の上に、男の憧れ(笑)のドリルまで先頭に付いているのです。先から冷凍光線も出します。(左はDVDの表紙です。)

この潜水艦は、人気が高く、昔から模型が販売され続けています。映画に登場する龍「マンダ」と併せてセットのモデルキットがありましたので、ご紹介します。 Dscn7021(1~3番目まで)あとは、食玩と、XーPLUS社の竜です。(マンダをほぼ忠実にモデル化したもの) Dscn6900Dscn70141Dscn7020Dscn70181

そのほか、この映画の見所は、ムー帝国の皇帝(女帝)です。「マンダのいけにえにせよ」など、傲慢で、大げさな台詞回し、一瞬の着替え、最後の毅然とした姿が忘れられません。また、旧日本軍の軍国主義コチコチの轟天号艦長も笑えます。それにしても、ムー帝国の文化がよくわかりません。あれだけモダンな潜航艇に比べて、あのスカートのようなコスチュームでは、なんとも説明がつきません。もう少し、設定も真剣に考えてほしいものです。とはいえ、楽しい映画でした。

ところで、有名なドリル付きの乗り物を挙げますと、やはり地中用でして、「地底王国ペルシダー」の地底探検車(映画もありましたが・・・。)、サンダーバードの「ジェットモグラ」と、この海底軍艦です。ところで、最新作の「コア」の乗り物は、ドリルで岩を砕いて進むのはなく、熱線で溶かして進むのです。(感嘆しました。)Dscn6670

ちなみに、潜水艦の有名どころは、海底二万マイルの「ノーチラス号」、ペティコート作戦の「ピンクの潜水艦」、グレートレースの「偵察潜水艦」、Uボートの「Uボート」などなど、まだまだありそうです。我らの「ローレライ」もお忘れなく。

2007年2月11日 (日)

人類SOS

Dscn6989 人は皆、幼い頃、トラウマとなった映画があるのではないでしょうか。私の場合、この「人類SOS」と新東宝の「地獄」でした。しかも、映画を見てからではなく、映画の宣伝の立て看板の絵でトラウマとなったのです。(最初の写真は、DVDの表紙)

 まず、「地獄」の立て看板は、出演者達の写真の背景に、いわゆる地獄絵が描かれており、針の山や血の池、巨大な石臼で、多数の罪人が、赤鬼や青鬼に責められているのです。子供というものは、細かなことに気がつくものです。私は、その背景に小さく書かれた、様々な責め苦の場面を見つけてしまったのです。そして、恐怖の余り、その立て看板の場所に行くのはもちろん、その前を通るのでさえ、嫌でたまらなくなったことを覚えています。もちろん、親にも言わなかったので、看板のある場所では、ぎごちない行動を取る私を、さぞや親も不思議に思っていたことでしょう。ところが、後年、ビデオでこのトラウマ映画を見たのですが、怖いどころか、お説教くさい因果応報話で、拍子抜けしました。セットも地獄絵図のイメージとは全く違うチンケなものです。結局、羊頭狗肉の宣伝看板の絵にだまされ、自らの無知と妄想で掘った墓穴だったのです。

 しかし、昔の浮世絵や無残絵は、子供には少しキツイのではないかなあ。写真や絵なんかも、映画と同様にR-12とか、必要じゃないのでしょうか。特に、最近は、インターネットなんかも心配です。Dscn6353_1

前振りが長くなりましたが、この「人類SOS」も看板の絵に恐怖したのです。左の写真のビデオの表紙と同じ絵が、ポスターに使われており、そのどこが怖かったのか?と言われても、実は判然としないのですが、トリフィドという人食い植物の話と聞いて、食べられた人間がトリフィドの幹や根の部分にどろどろに溶けて張り付いているように見えたのです。当然、映画館へ入ることなどできず、ダダをこねたのでした。結局、後年になって、テレビ放映で見ました(笑)。しかし、何より、正体を自分の目で確かめることが重要です。現実を見れば、想像とのギャップが判り、トラウマを克服することができます。私の場合、この種のSF映画が大好きになってしまいました。どうやら、人間の心理は、感情の起伏が大きいと言う点で、トラウマと後年の嗜好は、裏表の関係で結局つながっているのではないでしょうか。(全く、根拠ありません。)

映画の内容は、肝心なトリフィドの造型が看板の絵と全く異なるチープなものであるものの、無数に集まるシーンや当時にしては、結構人間のエゴを描いているパニックシーンもあり、なかなか捨てがたいものがあります。とはいっても、私にとっては、内容よりも、ともかく、この映画は、忘れられないものなのです。

ちなみに、私の子供のトラウマ映画は、どうやら「学校の怪談」の看板と「新モスラ」の音響と、インディジョーンズ2の「猿の頭」のようです。私と嗜好が同じになるか、これからに期待しています。

2007年2月10日 (土)

コンスタンティン

Dscn6666 キアヌ・リーブス主演の「コンスタンティン」は、キリスト教社会の永遠のテーマ、神と悪魔のお話です。この映画の設定は、この世のすぐ隣に天国と地獄が存在しており、その間を往来できるエージェントが、悪魔祓いをするというものです。頭の上半分(つまり脳の部分)がない地獄の悪鬼の姿など、あまり感心できる造型ではありません。地獄の風景もただただ赤くて、ぼやけて良く見えません。ともかく観客にとって、良く見えないというのは致命的です。よくある火星をテーマにした三流映画なども同じ轍を踏んでいます。また、肝心のストーリーも、門外漢のせいか、あまり意味が良くわかりません。

今回、この映画を取り上げた理由は、ティルダ・スィントン扮する大天使ガブリエルが素晴らしかったからです。「天使」というと、無垢の清らかなる存在というイメージですが、この映画では、神の道を逸脱し、自らの正義のためには手段を選ばないという役どころです。善というもの、正義というものの恐ろしさ、禍々しさを良く現しています。なによりも、この女優のとりすました容貌・容姿などがまさに適役で、人間を見下した態度や台詞など、その天使(?)の魅力には、すっかり酔ってしまいました。人でないという意味からモンスターという敬称を捧げたいぐらいです。どうやら、この女優さんは、この映画のせいでしょうか、少年少女映画「ナルニア王国」でも、悪い女王役を演じていますので、今後の女優生命が少し心配されます。まあ、あちらでもそれだけ魅力的だと評価され、オファーがあったのでしょうから、杞憂であればよいのですが・・・。

なお、そのほかでは、素足のサタンも頑張っていました。しかし、宗教にはとんと無関心な私達も、手を変え品換え、繰り返し映画化される神と悪魔の物語は深い部分は理解できませんが、結構興味深く思えるのは何故でしょう。どなたか、深層心理をご教示くださればありがたいです。

2007年2月 8日 (木)

テリー・ギリアム3部作

鬼才テリー・ギリアムDscn6540を知ったのは、「バンデットQ」でした。ストーリーは、少年が、時間と空間を超える旅をする奇想天外な冒険談です。ともかく、セットや美術の凄さに舌を巻きました。ショーン・コネリーの登場にも驚きましたが、その戦う相手の牛頭男のコスチュームや戦いのリアルさなども、当時としては、本当に斬新な絵作りでしたし、なにより、奇想とリアルさの混じり具合に、とてつもないセンスの良さが光っていました。 例えば、暗黒の中に吊るされている鉄檻、迷路のような階段など、 スケールの大きい見事な美術です。撮影方法も巧みなのでしょう。巨人などは、単に人間が演じているのですが、それが途方もない大きさに見えるから驚きです。 そして一番気に入ったのが、悪魔と神様です。悪魔が機械やチューブ仕込みの黒づくめの宇宙服のような姿であるのに対し、神様は高級スーツで決めた初老の紳士姿なのです。このギャップがなんとも言えないほど絶妙のさじ加減なのです。

しかし、この「バンデットQ」は、思えば、まだまだ普通の映画でした。

Dscn6663 次の作品が、老人を主人公にした「バロン」です。あのほら吹き男爵を映画化したものです。ともかく、この美術とセットが桁外れなのです。奇想天外なおとぎ語をとてつもないお金と手間をかけて製作したものです。どの画面もため息をつくほど豪華で見事としか、言いようがありませんが、興行的には製作費を回収することはできなかったようです。 下着の気球を実物大で作っていたら、そりゃ、そうなるでしょう。しかし、首だけの月の王、死神、ビーナス(若きユマ・サーマンは美しい)とその夫などなど、その驚異的な想像力には圧倒されます。Dscn6982

 3部作の最後は、中年男が主演の「未来世紀ブラジル」です。映画の内容は、セットや美術は相変わらず見事ですが、あまりに救いのないストーリーとラストはやはり感心しません。この悪夢のような世界の創造には、映画製作に際して大変な戦いがあったそうですが、結局このあと映画界からしばらく干されたようです。

 Dscn6647 久しぶりに見たのが、「ブラザーグリム」でした。が、なにか、画面に力や張りがありません。期待した想像力も想定内なのです。次回作には是非期待したいものです。

2007年2月 5日 (月)

パイレーツ・オブ・カリビアン

「パイレーツ・オブ・カリビアン」の続編、正確には、デッドマンズ・チェストという副題がつくのですが、いかがでしたか?世界中で大ヒットとか、海賊映画ファンとしては、よかったと思います。Dscn6914 Dscn6974 ただ、個人的な評価としては、ジョニー・デップが扮する「ジャック・スパロウ」の演技が秀逸という程度です。ストーリーと設定などは、面白いとは思いますが、人間の死体や骨などをベースにしたジョークは悪趣味過ぎて、心から笑えません。足のオール、親指の首飾り、人骨の檻など、生理的に受け付けません。その分、随分評価を割引します。(申し訳ありません。)また、アクションシーンも、笑いを取り入れようとしていますが、あまりに漫画的でどうにも馴染めません。一度、スピルバーグ監督のインディ・ジョーンズのアクションシーンを参考にしてほしいものです。

ただ、登場するモンスターは、なかなか良い感じです。蛸の顔のデイビィ・ジョーンズをはじめ、その部下達の巻き貝頭、シュモクザメ頭、フジツボ男、ヒトデのワッペン男など、そのユニークなデザインは、第1作目のバルボッサの骸骨亡霊姿より、数段上の趣向です。アクションフィギュアもNECA社から発売されており、思わず買いたくなります。そして、極め付けが、クラーケンです。巨大な蛸のような腕で、帆船を叩き壊し、沈没させます。欧米に伝わる古文書の絵にある想像図どおりのイメージです。DVDに収められているメイキングを見ると、本物の船のような巨大な模型を、クレーンで壊し、CG処理しています。なるほど、迫力がある筈だと感心しました。腕と、鋭い無数の歯のある口までは判りましたが、全身の姿が判りません。どんな姿か、早くも三作目に期待していたのですが、先日「公式ビジュアルガイド」を大枚2500円をはたき購入したところ、果たして、全身の姿が載っていました。それを見ると、頭(?)などの図体がとても大きく長いことがわかります。三作目では、是非、その全身を出してほしいものです。では、私の購入した本を少しご紹介します。詳しくは、皆さんも、是非、この本を購入してご覧ください。大きな写真も盛り沢山で、眺めているだけで楽しいですよ。Dscn6967 (本当に、欧米の図鑑などは、ビジュアル的に素晴らしいです。)

Dscn6966

2007年2月 4日 (日)

マタンゴ(その2)

マタンゴの話の続編です。もっとも、今回は、前回、お約束した、イワクラのフィギュアの紹介です。高さ8cmぐらいの小さなものですが、大変良くできています。Dscn6850 Dscn6851

マタンゴの最終的な姿になる前のキノコ人間をご覧ください。演じたのは、ご存知、天本英世です。3枚目は、エノキ型マタンゴです。映画の中にいたかどうかは確認できていません。(笑)

Dscn6853 あわせて、DVDをご覧ください。ともかく、何度も言いますが、水野久美が禍々しい美しさです。Dscn6668

ミミック

前回紹介した「レリック」と同じ時期に公開され、話題となっていたのが、「ミミック」です。最近の洋画配給会社は、どうして、こんな訳のわからないカタカナの題名をつけるのでしょうか。担当者の質の低下でしょうか。かつての配給会社の宣伝マンの姿勢を見習ってほしいものです。洋画の転落も実はこんなところに原因があったりして。というのも、カタカナでは、意味がわからないと映画名を覚えられないのです。(笑)

 Dscn6650 さて、この映画は、新種の昆虫を開発した結果、その昆虫が独自の進化を遂げ、人間大のモンスターになって襲い掛かるというストーリーです。しかも、当然のことながら、地下構内で独自の社会まで形成しているのです。

当時流行のデザイナーのタイトルバックからの導入、新種の昆虫名「ユダの血統」(どうしてこんな名前なのか?)、進化途中の巨大な昆虫、迷路の中の巣、そして、コートを着た人間にカモフラージュできるまで変化した最終形の姿。地下構内での集団攻撃シーン等々。

ユニークな発想や変わった道具立て、昆虫の生態への考察など、なかなか面白く、また、舞台がアメリカの地下鉄構内では、実際に(犯人=昆虫は別にして)犯罪自体は起こりそうな雰囲気やリアリティが感じられました。続編もできたようですから、世間でも、それなりの評価はあるのでしょう。人間への擬似シーンは、思わず、笑いながらも、納得します。

SF映画の佳作、小品です。DVDを見ても損はしません。続編は、見ていませんので、あしからず。

2007年2月 3日 (土)

レリック

「レリック」という題名の意味が良くわかりませんが、封切当時としては、初期のCG技術を生かしたクリーチャーが評判でした。写真のように、ソフビのキット(メーカー不詳)も発売されています。Dscn62401なお、この写真に写っている作品は、とても腕の良いモデラーによって製作されたものです。(素晴らしい出来です。) Dscn6654ところで、高度なCG技術の盛んになった今では、肝心なこの映画の評価は、あまり芳しいものでありません。ストーリーも、特殊技術も、モンスターの造型も、いずれも中途半端な出来なのです。CG技術が珍しかった時代で、一時的に話題となっただけというものでしょう。正直、映画にはあまり印象がありません。かろうじて、そのモンスターの姿だけが記憶の片隅に残っています。

それに比べて、レイ・ハリーハウゼンのモデルアニメーションは、CG技術全盛となった現在でも、その価値は失われず、多くのファンを魅了し続けています。名作と話題作の違いでしょう。歴史の波、時間の評価を経たものだけが名作といわれるものなのでしょう。

ともあれ、DVDも発売されていますので、久しぶりに、もう一度、見てみましょう。

« 2007年1月 | トップページ | 2007年3月 »

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31