フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン
往年の東宝の怪獣映画の中から、異色作をご紹介します。「フランケンシュタイン対バラゴン」です。もともと、フランケンシュタインの怪物と別の怪物が戦うというストーリーの版権を持つアメリカの製作会社と東宝が組んで制作したものです。
写真の地底怪獣は、ビリケン社のソフビのキットを完成させたものです。この怪獣は、この映画の後、着ぐるみを様々なTV怪獣に転用されています。思いつくままでも、パゴス(ウルトラQ)、ネロンガ(ウルトラマン)などです。つまり、大変良くできた着ぐるみで、円谷プロの孝行怪獣でした。デザインも東洋の獅子顔で、背中の山型の棘も特徴があります。(この棘ですぐに判ります。)
もう一方の写真は、同じくビリケン社の、ボリス・カーロフ扮するフランケンシュタインの怪物のソフビ・キットです。名作キットという噂にたがわず、大変良くできたキットです。絶版で、プレミアが付いており、やっと手に入れて製作しましたが、顔の表情など、映画の雰囲気がうまく醸し出されています。
ところで、東宝の映画の方は、フランケンシュタインの心臓が、戦争末期に、日独同盟によって、広島の研究所に運ばれており、それが原爆によって巨大化し、たまたま現れた地底怪獣と争い、最後は、富士山の噴火によって地底に沈むというストーリーです。米国版では、さらに、淡水の富士五湖から、巨大な淡水タコが現れ、フランケンを湖底に引きずり込むという、さらに荒唐無稽な話になっています。巨大フランケンも、造型は本家のハリウッド版に似せていますが、なんだか、痩せた日本兵のような感じですし、少なくても、白人ではありません。(笑)第一、あの巨大な衣装は、何の毛皮だ。
そして、最も印象深いエピソードは、研究者が、フランケンシュタインかどうかの真偽を確かめるために、フランケンの手首を切ろうとして言うのです。「フランケンならば、手が生えてくる。」と。逆に、人間だったら、生えてこないのに、どうするのだ、と、余りの非人道的な態度にあきれます。脚本家は、何も感じていないのか!!と、まあ、怒っても仕方がないようなお粗末さです。
ただ、当時の能天気なゴジラシリーズと違って、暗い陰鬱な雰囲気がなかなか良かったし、巨大といっても、20mぐらいの設定(ゴジラの半分以下、)であり、模型やセットの大きさにも感心しました。続編の「サンダ対ガイラ」も良かったなあ。ガイラと海だこの戦い、(淡水だこのリベンジか?)、ガイラのマンイーターぶり、メーサー砲のレーザー乱れ撃ちなど、東宝特撮の白眉といっても過言ではありません。しかし、これは、また、別の機会に。
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