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2025年10月20日 (月)

チェンソーマン/レゼ編

 「鬼滅の刃」を抜いて、第1位となったアニメ「チェンソーマン/レゼ篇」を観て来ました。実は、最近、配信で、結構アニメを観てるのですよ(笑)。「ダンダダン」や「怪獣8号」など、漫画原作と聞いていますが、映像や音楽などがスタイリッシュで面白いですねえ。気楽に観ることができるのも、いいなあ。「チェンソーマン」は、この配信で知りました。

 最初、チェンソーに人間の胴体が付いてる姿に引きました(笑)。しかも、両腕に生えているチェーンソーの生え際(指の間?)が凄く気になりましたねえ。普通、あり得ないビジュアルじゃない? 狂気のデザインですよ。
 まあ、ストーリーが、悪魔が存在している世界で、チェーンソーの悪魔と合体した主人公の少年デンジがデビルハンターとして活躍(?)するというものなので、悪魔付きのデザインが奇怪、奇天烈であるのは当然なのですが、それでも、あのデザインには驚きました。でもまあ、見慣れてくると気にならなくなりましたねえ(笑)。余談ですが、胸のプルスターターを引っ張ってチェンソーを始動させ、変身するのは初めから気に入っています。

 ちなみに、この劇場版の宣伝のためか、「総集編」が配信されており、再見して、改めて面白いことを再認識しました。どうやら、最初の配信時に、原作ファンからクレーム(イメージ違い?)があったせいか、監督が交代しているようです。
 面白さからいえば、ラスボスの”銃の悪魔”という設定が現在のアメリカの銃犯罪を風刺しているようで好きなのですが、なんといっても、この主人公デンジのネジが飛んだような、とんでもない性格が実に良いのです。
 次に、初心なデンジを手玉に取っている、女上司のマキマさんがいいですよねえ。ネクタイをした男装姿も映えますし、両手を重ね捻って、遠隔地の敵を圧殺する技には感心しました。この人、何の悪魔付きなのでしょうねえ、気になります。私は、原作を読んでませんが、この女が絶対にとんでもない悪女だということだけはわかります。

 さて、前説が長くなりましたが、映画「チェンソーマン/レゼ篇」は、主人公デンジが謎の少女レゼに出会う物語です。典型的な”ボーイ、ミーツ、ガール”の物語です。レゼの正体がわかるまでが結構長いのです。雨の日の出会い、学校に通ったことが無いデンジのための夜の学校のデートなど、純愛物語が綴られます。”おかしいよ、学校に通っている歳の子供がデビルハンターしているなんて”とか、”一緒に逃げよう”と誘うレゼちゃんは可愛い。初心なデンジは一発でしたねえ。

 そして、レゼの正体が分かってからの戦闘シーンが絶句です。台風の悪魔やサメの悪魔付きハンターの入り乱れる戦いは、あまりにその動きが素早すぎで年寄りの動態視力ではとらえきれまでした(笑)。多分、大画面のせいもあるのでしょうが、爆弾娘の威力が凄まじいのです。結構、戦闘シーンは長いのですが、なんやら、かんやあ、分からないうちに、すべてが終わりました。意外なことに、デンジはレゼを殺さずに、勤め先の喫茶店に、大きな花束を持って告白に行くのです。いやあ、このデンジの脳天気で純粋な性格が好きです。
 しかし、最後は、悲しい結末が待っています。レゼの”私も学校は行ったことが無かった”というセリフは泣かせますねえ。デンジの待っている姿を見た(?)ことが救いでしたねえ。
 あいつは、やっぱり悪女だったんだ!!許さん(笑) 

2025年9月23日 (火)

ノスフェラトゥ(2024年版)

71rwoeiosql_ac_sy445_  「吸血鬼ノスフェラトゥ」は、1922年のサイレント映画の世界最初の吸血鬼映画であり、F・W・ムルナウ監督の傑作といわれています。とにかく、吸血鬼のオルロック伯爵を演じたマックス・シュレックの禿げ頭で長い爪の異様な姿が有名です。この作品は、ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」が原作なのですが、遺族の反対で”ドラキュラ”の名前が使えなかったそうですが、不死者(ノスフェラトゥ)というのは、やっぱりインパクトが強かったようで、その後、何度も再映画化されています。

81ifxdxpl_ac_sl1500_  このサイレント映画のオリジナルについては、もちろん私もDVDで観ていますが、やはり、サイレント映画特有の大げさな演技や画像の悪さであんまり面白くないのです。
 ところが、2020年になって最新の技術で復元された2Kリマスタードイツ語オリジナル版が、この6月にブルーレイ「ノスフェラトゥ/恐怖の交響楽」として発売されました。謳い文句は、”その映像美とち密な空間構成、計算された光と影の視覚効果は、一世紀を経てなお見るものを驚嘆させるだろう”というものでしたので、早速購入したのですが、確かに、映像は昔のバージョンからは比較にならないほど鮮明になっています。

 ただ、やっぱりサイレント映画特有の大げさな演技が私には意味不明でなんとも観るに耐えられないのでした。もっとも、そうした演技がオルロック伯爵には効果的だったのかもしれません。いまでも、そのフィギュアが生産されるほど、インパクトはあります。まあ、本来は、昭和の黄金時代の東宝怪獣映画のように、歴史的な視点を持って、その作品を鑑賞するのが礼儀なのでしょうが、思い入れが無いとなかなかそうはまいりませんね(笑)。
 
61e2pg88bl_ac_sx342_sy445_ql70_ml2_  さて、このサイレントの伝説の映画を2024年に再映画化したのが、ロバート・エガース監督の「ノスフェラトゥ」です。出演者も豪華です。主演のオルロック伯爵を「IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。」のピエロ”ペニーワイズ”を演じたビル・スカルスガルド、ヒロインをモデル出身のリリー=ローズ・デップ、その夫をニコラス・ホルト、この人は「レンフィールド」(当ブログ2025.3.25参照)でドラキュラの召使を演じていました(笑)、そして、フォン・フランツ教授を名優ウィレム・デフォーが演じました。なお、この作品は、アカデミー賞で撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の4部門にノミネートされていますので、凄く期待していたのです。

 残念ながら、この映画は私の地方では劇場公開がされなかったので、先日発売されたブルーレイを入手してやっと観ることができました。
 まず、なにより驚いたのは、オリジナルの世界を、当時の街並みから家の調度品や衣装まで、物凄く丁寧にリアルに、まるで臭いまで感じられるような不衛生な社会を再現していることです。これには一寸感動しました。確かに、アカデミー賞にノミネートされるだけのことがあると感心しましたし、ハリウッドの力を再認識しますねえ。こういった昔の時代をリアルに作りだすのは、さすがです。

 さらに、ヒロインを演じた女優さんにも驚愕です。宗教画に出て来そうな奇妙な髪形のヘアメイクや衣装も見事ですが、なによりオルロック伯爵に呪われる演技が凄すぎます。白眼やベロ(舌というよりこの表現がぴったり)を口から垂れ下げ、痙攣する姿はエクソシスト張りです。特殊メイクでない分(多分?)、迫力が違います。精神を病んでいく姿は壮絶です。最初美人だと思っていた容貌の印象が一転するほどです。この女優根性は見事です。
 それにしても、彼女を善意から支援した友人夫婦と娘たちは可哀想でしたねえ。眠らされた夫には救いがありませんし、途中から登場するウイリアム・ デフォー演じる、オカルトや心霊術研究で学会を追われた変人教授は、結局なんの役に立ちませんでした。それにしても、デフォーが画面でかなり背が低く見えるのには、かなり戸惑いましたねえ。なんらかの演出意図があるのかな。それとも身長が単に低いだけ?

 ところで、この映画で一番興味があったのが、ビル・スカルスガルドが演じるオルロック伯爵のビジュアルです。なにしろ、先日観たドラキュラ映画「ドラキュラ/デメテル号最後の航海」(当ブログ2024.7.13参照)では、本家ドラキュラがCGを駆使して”ノスフェラトウ”の進化型のモンスターになっていたので、「IT」であれだけの恐怖のピエロを生み出した役者には、大いに期待していたのです。
 映画序盤は、画面が暗くてオルロックの姿形がよくわかりませんでした。なにしろ、指の影ばかりが伸びていくシーンが続き、なかなか姿形を見せないのです(笑)。
 そして、やっとその姿がはっきり映し出されたときは、少なからずガッカリしましたねえ。コサック刈りで口髯を生やした大男だったのです。うん、当時のトランシルバニアなどの風俗や文化からリアルさを追求したのでしょうが、まったくモンスター感がありません。アカデミー賞がノミネートで終わった理由が分かりました。観客は、奇怪なモンスターを望んでいたのだ(笑)。

 でも、まあ、ペストが流行った当時の時代をリアルに再現した映像は見事で、自宅でブルーレイの早回しも一時停止もせずに、最後まで鑑賞できましたので、それは一応面白かったというべきでしょう。

51n3zpy067l_ac_sy445_  なにしろ、「ノスフェラトゥ」の再映画化では、1979年に、はまり役と言われた怪優クラウス・キンスキーを主演に、ヴェルナー・ヘルツォーク監督の作品があるのですが、適役すぎたのか、なんとも退屈でそうそうにDVDを早回しにした苦い経験もあるのだ(笑)。

 やっぱり、吸血鬼映画は、クリストファー・リーがドラキュラを演じるハマー映画のシリーズが一番です。

 

 

 

 

2025年9月15日 (月)

劇場版「鬼滅の刃」無限城編/ 第一章 アカザ再来

 「劇場版「鬼滅の刃」無限城編/ 第一章 アカザ再来」は、52日間で興収300億円を突破しているといいますから、実写版「国宝」の100億円と比較しても桁が違います。外国でも記録的なヒットらしいので、さすが、クールジャパンのコンテンツ「アニメ」の強さに感心します。
 前回の劇場版「無限列車編」は、夢を見せる鬼のCG映像や煉獄杏寿郎のキャラクターが予想以上に良かったし、テレビドラマの続編を映画公開する試みも興収400億円を突破する快挙となりましたから、今回も劇場に足を運びました。

Img_20250912_0001 どうやら、長い物語も佳境に入ったようで、最終編の3部作らしいのですが、この第一章は、無限列車編のラストで登場したスポーツマンみたいな上弦の鬼の”参”つまり第3位の”アカザ”の再来エピソードです。余談ですが、私のパソコンではアカザの漢字変換ができなかったので、カタカナですみません(笑)。どうも、この原作者の漢字等への知識と敵キャラターの作り込みが深すぎて、ときおり絶句します。まあ、連載中に漫画本が書店からなくなるほと売れたというのも納得です。とはいっても、私はまだ原作漫画を読んでいません。読むのは映画が終わってからにしようと決めています。というのも、絵のビジュアルや細かな演出は、アニメならではの素晴らしい出来だと感じています。実際、テレビのアニメ化で人気が沸騰し、一時は打ち切りも覚悟していた漫画原作が持ち直した話は有名です。

 なお、このアニメの製作は、”ufotable”という会社で、CGで情景などをリアルに描いていたようです。テレビ第1作の冒頭の雪のシーンは、見事ですねえ。あれで視聴者の心を掴んだのではないかと思っています。
 今回も、一足先に観てきた娘が”無限城のCGが凄い。劇場で観るべき”とか宣伝するので、その無限城の映像には期待していました。しかし、前作の無限列車の上の戦いなどの印象も加味して少し期待が大きかったのか、観た感想はなんか単調でしたねえ。どんどん回廊が無限に伸びるのも、予想の範囲内なのです。うん、無意識に観客の予想を超える映像を期待していたのだ(笑)。

 ネットで見ると、ufotableは、CG予算が少ないのでいろいろ製作体制や人材の活用で創意工夫して作り上げたと褒めているのですが、これまでの莫大な収益は一体どこに消えたのでしょうか、おかあさん(笑)。もっと投資しろよ!!ソニーや集英社さん。世界に冠たる日本のアニメ業界の闇は深いといいますが、もっともっと製作現場に投資しないと、中国などに追い抜かれますよ!!などと門外漢が勝手な妄想まで抱いてしまいました。

 ただ、お話はやはり見事です。基本は原作の力なのでしょうが、敵役が強い物語はとにかく面白いし、まあ、あんな鬼になる悲しい物語をいくつも思いつくものと脱帽です。おもわず、アカザには同情してしまいますが、根っからの悪というのもチキンと描いているのがいい。あの偽宗教の教祖、上弦の”弐”第2位の鬼の言い分は笑います。あんなセリフを吐いていて、外国の宗教国家では叱られないのかな?、まあ、ヒットしているみたいだし、ノープロブレムですか。

 以上のように、CG映像には若干不満もありましたが、2時間半十分堪能しました。でも最後に一言、アカザの首を切断されても、復活するのは、ルール違反じゃないかい?少なくとも、始祖の鬼舞辻無残なら別格と分かるが、せめて、首が無くても復活するなんらかの理屈と説明が欲しかったなあ(笑)。 もっとも、アカザの体の紋様の意味には納得です。感心しました。
 それと、改心したら鬼の間の悪業三昧は許されるのか? もちろん、アカザの場合は、明らかに無残によって引き起こされた心神喪失と認定されるので無罪です。鬼になる前の道場の連中の件?天罰です(笑)。

 余談ですが、写真の冊子は、入場の際、無料でもらった声優たちの対談集です。パンフなどはとっくに売り切れているようでした。

2025年9月13日 (土)

国宝

 映画「国宝」は、9月1日に観て来ましたが、ブログを書くのは本日9月13日になりました。記憶力があまりあてにならない私はいつもは備忘録も兼ねてすぐに記録するのに、今回はなかなか書く気になれませんでした。

Img_20250906_0001 正直、この映画が実写映画としてはひさびさに100億円を突破した作品という理由がよくわからなかったのです。確かに、主人公を演じた吉沢亮とライバルの御曹司役の横浜流星の若手俳優2人の熱演と頑張りには敬意を表します。パンフレットによると、1年半も前から歌舞伎の女形の稽古や舞踊を練習していたというのですから、日本映画界もハリウッド並みの準備期間を設けるようになったのかと感慨深いものがあります。
 加えて、主人公の子役もなかなか見事でした。ここは素直に評価しましょう。

 さらに、歌舞伎の伝統芸能というものの凄さと美しさを再認識しました。名門とそれを守り支える歌舞伎の社会は、なんとも異様な世界なのですが、それが伝統であり、その世界で好きで生きている人間達の生き様に外部から理屈でどうこう批判するものではないのでしょう。
 それにしても、芸のために、全てを捨てて生きるという主人公の姿は、落語家からバレリーナまで世界共通の芸術家たちの普遍の物語であり、凡人の憧れてやまないお伽噺なのです。
 このテーマに、歌舞伎界とは全く縁のなかった若手の美男男優2人がそれこそ”女形”という難役に挑戦している姿が見事にマッチして、女性観客の大動員につながった(多分)のではないかと思いましたねえ。

 そして、ソフィアン・エル・ファニという外国人撮影監督が、実に美しく歌舞伎の舞台を映像化しました。本当に美しく華麗な舞台に感動しました。日本人ではこうはいかなかったかも、とも思えます。この映画で歌舞伎座の観客が増えたとうのも納得です。さすが、「フラガール」の李相日監督です。狙いが素晴らしい。加えて、さまざまな施設を活用した美術セットも見事です。

 一方、お話は、歌舞伎の女形の芸を磨くことにすべてをかけた男の少年時代からの一代記です。やくざの親分の息子から歌舞伎界に身を投じ、御曹司と切磋琢磨しながら、波乱万丈の人生を描く物語なのです。
 ちょっと設定が無理筋ではないかと思いましたが、実は原作小説がありまして、その著者は、3年間も舞台の黒子として働いて取材して執筆したといいます。いやあ、ただただ尊敬します。原作も売れているようでよかったです。
 ただ、やはり、上映時間が3時間あるとはいえ、人間の一代記ですので、各ステージのつなぎに違和感もあります。例えば、親の仇討ちで敵に乗り込んだ後、いきなり場面が転換して、無事歌舞伎の名門に弟子入りします。おもわず飛ばすなよと。あるいは、役欲しさに手を付け破門されたお嬢様の行く末はどうなのか。そして、極めつけは芸子に生ませたあの可愛い娘はその後どうなったのか、などと鑑賞中に様々悩んで、やっと最後の疑問だけが、思いもよらぬ形で明かされます。まあ、いくら芸以外はどうでもよいと悪魔に祈ったとしても、なんか、人間性に腑に落ちませんね。そう、優れた芸術家には一般の社会通念は必要ないのです。だからこそ、歴史を超えて万人の支持を得る芸術を生み出せるのです。これは真理なのだ、ホント世界の天才芸術家の生き様をみて分かります(笑)。 それがこの映画のテーマです。

 それにしても、 昭和の時代は、俱利伽羅紋々背負っていても、あんまり忌避感は無かったのでしょうかねえ。楽屋で白粉を塗るシーンで誰もなにも言わないのが不思議でした。あの一緒に掘りもの入れた幼馴染も名門の御曹司の妻にちゃっかり収まりました。まあ、渡世の世界と芸能の世界はつながっていたから、でしょうか。
 そういえば、世間から一時マスコミで叩かれたエピソードがありましたねえ。でも、あれは、歌舞伎界の御曹司サイドからの密告でしょうから、まさしく最近の実話に基づいたエピソードです。それから名門でない人間国宝の生活はなかなか厳しいものですねえ。あの田中泯演じる老女形の住居が歌舞伎界の現実を表していますが、あの姿を見たことが主人公の復活につながったということは、覚悟が定まったことかな? などなど、よくわからないことをいまだにぐずぐず考えていることは、やっぱり映画としてよくできているということかな。

2025年8月26日 (火)

バレリーナ

 「ジョン・ウィック」のスピンオフ映画「バレリーナ」を観て来ました。売り物の派手なガンフーなどの格闘アクションも見所ですが、なんとも期待はずれだった「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」の中で、唯一面白かった、CIAの研修生のエージェントを演じた、アナ・デ・アルマスが主演するというのが一番の動機ですねえ。しかも、幼いころ、目の前で父親を謎の暗殺集団に殺されたため、ジョン・ウィックを育てた暗殺者育成機関”ルスカ・ロマ”に入って、女暗殺者イブになって復讐するという、典型的な復讐譚です。まあ、アクションのためだけのストーリーですねえ。しかし、決して嫌いではありません(笑)。

 映画は派手な銃撃戦で始まり、バレエと暗殺術の訓練も過酷です。延々とイブの成長が描かれ、暗殺者としてデビューします。まあ、アチラの映画ですから、やっぱり女性の非力を前提にして、様々なアクションを組み立てています。なにしろ相手も屈強な殺し屋たちですから、なかなか一発で仕留められません。何度も殴り、殴られ、見てるだけで痛そうです。正直、打たれ強いというレベルではなく、もう死んでない?と疑問に思う程です。そして、非力を補うのが、周りにある小物、例えば、スケート靴とか、お皿とか、なんでも武器になります。とにかく、一つ一つの格闘シーンが長く感じられます。体力のない日本人の年寄りには少し堪えましたねえ。

Img_20250826_0001  しかも、全編、アクションシーンの連続のような感じで、あの”CIAの研修エージェント”のようなユーモアもなく、暗い復讐心に身を任せた無謀な行動ばかりの演出は正直疲れました。いくら手の込んだ殺し方を無数に披露しても、やっぱり緩急が無いとイケませんね。演出がハード一辺倒すぎました。しかも、やや説明不足の面もあり、特に、何故、父親を殺されたイブの前に、ニューヨーク・コンチネンタルホテルの支配人ウィンストン(CGで若作りしているので、最初、カルト教団のボスかと思った(笑)。)が突然現れるのですか?映画が終わっても気になってしかたありません。ちなみに、世評は最高ランクですが、多分、若い人の意見ですよね、きっと(笑)。

 しかし、転んでもジョン・ウィックの製作陣です、アクション演出にかけては、さすがと感心し、度肝を抜かれたエピソードもいくつかありました。例えば、銃が無いので、なんでもかんでも手りゅう弾で爆殺させるのも意外にコロンブスの卵だったのか、新鮮です(笑)。
 また、アルプス山中の小さな村全体が暗殺教団の拠点という設定は秀逸です。喫茶店のオバさんなど村人全員と戦う羽目になるのは実に楽しい(笑)。幼稚園から暗殺教育しているようなセットも笑えます。ただ、村人の家に日本刀が飾ってあるのはすこし唐突です。個人宅なので住民の趣味という設定なんでしょうが、絶対製作陣の趣味ですよねえ(笑)。
 そして、クライマックスは、火炎放射器での決闘ですし、消防ホースで防げるのか、はなはだ疑問ですが、まあ、劇的効果が半端なかったので良しとしましょう。
 とりわけ、ジョン・ウィック自身が、予想以上に長く登場しますので、未見の方は是非ご覧ください。まあ、本編で死んだはずの”バーバ・ヤーガ”が生き返る続編も作られるようですので、これもお楽しみですねえ。

2025年8月11日 (月)

ジュラシック・ワールド/復活の大地

 「ジュラシック・ワールド/復活の大地」は、どうも前評判が余り良くないようでしたが、恐竜ファンには関係ないのだ(笑)。封切り日のナイトショウで観て来ました。

Img_20250811_0001 物語は、主演のスカーレット・ヨハンセンを当て書きしたような傭兵崩れのチームが、新薬開発をもくろむ巨大製薬会社に雇われて、立ち入り禁止の絶海の孤島に生息する恐竜のDNAを採取しようとする冒険譚です。しかも、陸、海、空それぞれに君臨する最も巨大な恐竜がターゲットというのですから、思わず笑いました(笑)。巨大さが長寿の源なのかねえ?まあ、恐竜ファン、特に、巨大な生物が好きな人たちへのファンサービスなのでしょうねえ、きっと。なにしろ、監督が「モンスターズ/地球外生命体」で長編映画デビューし、「GODGILLA/ゴジラ」でハリウッド・ゴジラの道筋を作った、巨大怪獣が大好きな(多分)人なので、自分が好きなものを見せたかったのでしょうねえ。

 それにしても、前作で世界中に散らばった恐竜たちは、結局気候や食物があわず、熱帯のベルト地帯を除いて全滅し、一部の孤島でほそぼそと生き残っているという設定は、前シリーズのワールド3作で広げ過ぎた大風呂敷を一気に畳んでしまう妙案です。このアイディアには本当に感心しました。脚本家に座布団三枚です(笑)。

 最初に登場するターゲットが海の巨大恐竜で、お馴染みモササウルスです。学術的には、恐竜ではなく海生爬虫類なのですが、誰も文句は言いません。大きいことは良いことなのです(笑)。さて、この危険な海域に、のんびりと、一般人の父親に二人の娘とダメな恋人の4人乗りのヨットが航行してきます。もちろん、すぐにヨットはモササウルスに襲われ、転覆するのですが、その救助に駆け付けた傭兵達の高速巡視艇までも追い回し、ついには浅瀬に遭難させるのです。そうです、まさに巨大な「ジョーズ」のような派手なアクションを披露します。しかも、新学説で姿形がすっかり変わったスピノサウルスを何頭も手下にしているのです。ただ、すこし残念だったのは、モササウルスのデザインが、新学説を基にしているのか、爬虫類感が少なくなって、まるでクジラのようです。まあ、尻尾が魚のようになっているのは仕方がありませんが・・・。なんか、恐竜感が無かったのですよねえ、爬虫類でもトカゲ感がないのです。

 次は、陸の王者、ティタノサウルスです。一般にはあんまり馴染がないのですが、最大の竜脚類と言われています。この恐竜も新学説に基づいてか、体色も背中の棘も色鮮やかですねえ。それに、鞭のように長く、空中を優雅にうねる尻尾の映像は壮観ですねえ。本物もあんな尻尾の動きをしたんでしょうかねえ。ほんと、この監督は新しもの好きですねえ。恐竜ファンとしてはうれしい限りですが・・。

 3体目の空の王者は、もちろんケツァルコアトルスです。しかし、その巨大翼竜も頭部のデザインを馴染のものから新型に変えています。どうやら頭部の化石が無いことから自由にデザインをしたようですが、なんか変かな?まあ、見てご判断ください。前作のが好きだなあ(笑)。

 そして、やっぱり、我らのティラノサウルスが活躍します。なんと原作小説「ジュラシック・パーク」には存在したものの、当時の技術からスピルバーグでさえ断念したと言われていた、川で人を襲うエピソードです。ゴムボートの一般人の親子らを水の中まで追いかけます。運良くというか、都合よくというか、4人はなんとか逃げ出せました(笑)。

 最後は、ついに、ミュータントの恐竜が登場します。翼竜の翼を持ったヴェロラプトラル、デコ頭の6本足の巨大恐竜などは、完全に怪獣ですねえ。デコ頭が霧の中からヘリコプターを咥えて出てくるなどは、本当に怪獣映画でした。まあ、好きだけど(笑)。そして、羽毛恐竜が登場しませんでした。パンフレットによると、ギャレット監督曰く、”羽毛で覆われた恐竜は、おおきな鶏みたいで怖くない”とのこと。うん、おっしゃるとおりであり、慧眼です。

 以上、恐竜がたくさん出て、しかも秘境探検の雰囲気がとてもよかった。多少、ストーリーが予想どおりで意外性がなくったって問題ありません(笑)。人も要所要所できちんと喰われます(笑)し、ラストは完全懲悪で収まりますし、元祖怪獣映画「キングコング」を彷彿させるだけでも観る価値は大いにありました。未見の方は是非観に行ってください。

2025年7月15日 (火)

スーパーマン

 スーパーマンは、米国を代表する超人ヒーローです。個人的には、クリストファー・リーブ演じるスーパーマンが大好きです。まさに適役でした。しかも、子供だましと思われていた映画に、あの気難しい大スターのマーロン・ブランドが父親役で、ジーン・ハックマンがルーサー役で登場するなど、当時の常識をひっくり返すような堂々たる大作に仕上がっていました。1978年、CGの無い時代に、斬新なタイトルを含めて、アメコミ物のステイタスを一気に押し上げた傑作です。
 加えて、続編「スーパーマンⅡ」も好みですね。テレンス・スタンプ演じるゾッド将軍などとのコメディタッチの戦いもアナログ満載で実に楽しかったなあ。あの将軍の情婦役サラ・ダグラスが妖艶でした(笑)。第3作以降は、まったくの駄作揃いでシリーズは尻すぼみに終了です。

 そして、2013年になって、「マン・オブ・ステール」で、悪人顔のヘンリー・カヴィルのスーパーマンが登場します。贔屓のエイミー・アダムスがロイス・レインを演じ、その他、ダイアンレイン、ケビン・コスナー、ラッセル・クローなどと実に豪華な共演陣でした。特に、大男のゾッド将軍の女部下を演じたアンチュ・トラウェは、1978年版のサラ・ダグラスにどこか似ているというのは、私の穿ちすぎでしょうか(笑)。
 まあ、この映画の目玉は、CG技術の発達によって超人同士の戦いを実にリアルに、迫力ある映像にしており、当時あの物凄いスピードのアクションには度肝を抜かれたような気がしたものです。その後の「ジャスティス・リーグ」なども、スーパーマンは他の超人たちとは格が違うという扱いにしていたことも実に好感が持てました。

 しかし、製作会社のDCの体制が変わり、ジェームス・ガン監督がトップとなったことから、低迷しているDC映画の一新を図る目的で、まず、主演のヘンリー・カヴィルを首にして、新人を発掘した上で製作したのが、この新作「スーパーマン」なのです。ジェームス・ガン監督は、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」や「ザ・スーサイド・スクワッド」などが有名でファンには絶大な人気があるようなのですが、私にはどうもそれらの作品のアメコミ風の面白みがあんまりよくわからないのだ(笑)。

Img_20250715_0001  さて、この新作「スーパーマン」の印象は、まず、1978年版の色合いに戻しているというスーパーマンの衣装がダサい(笑)。ヘンリー・カヴィル版のダークなスーツは、カッコよかったのに残念です。それに、新人さんは、どっかドンくさい感じがします。多分、監督がねらった、”田舎から都会に出てきた青年”という配役なのでしょうが、あんまり”超人”という感じがしません。

 物語は、冒頭、北極の氷原を映し出して、”30年前に初めて異星人が現れる”とか、”10年前に・・・”とか、超人たちが当たり前に居る世界の説明があって、あの予告編のスーパーマンが墜落するシーンとなります。”初めてスーパーマンが負けた・・”という衝撃のスタートです。
 しかも、相手は、クラシック調の装甲で覆われたロボット兵士のような敵なのです。ここで、今回のスーパーマンはひょっとして弱いのかな?などと思ってしまいました。まあ、彼に負けたのには相応の理由があるのですが、ネタ晴らしになるので、是非映画でご確認ください。

 さらに、政治による侵略戦争と殺される側の市民の立場をテーマにした、ロイス・レインとの口論にドン引きです。まあ、現在の世界各地の戦争を憂いてのシーンなのでしょうが、そうした憂さを一時忘れたくてアメコミ映画を観にきているのだ。しかも、SNSを使ったスーパーマンへの攻撃シーンなどは、クリプトン星人が”移民”であり、米国の現実社会を風刺しての問題提起なのでしょうが、ヒーロー映画としては全然面白くありません。一体、なにを見せられているのだろうかと、観ているだけで心が折れます。

 そのほか、たくさん登場する超人たちも、DCコミックで有名なのでしょうが、なんかスタイルがダサいのです。スーパーマンもやっぱり、あんまり強くありません。
 また、あのマントを付けたスーパードッグがなんともうっとおしいのです。躾の悪い犬のハタ迷惑な行動は、犬好きな人にはいいかもしれませんが、そうでもない人は、あのスターウォーズの”ジャージャーなんとか”と一緒ですねえ。本当にあの犬は面白い?
 それに、次元トンネルや異次元空間を作り出す天才科学者ルーサーという設定は、あまりにもやりすぎじゃないかなあ?歳のせいか、全くついていけませんでした。ただ、スーパーマンの親の復元された遺言は、劣等種族(地球人)に対する優越種族(クリプトン星人)の本音を描いた人種差別への警鐘として、ここは大いに評価します。まあ、”生みの親より育ての親”という教訓なのだ(笑)。

 以上、痛快無比なヒーローアクション映画を期待した私には、なんか違った映画を観せられた気になりました。 この映画は日本でヒットするのかな?みなさんはどう思いますか、今後の動向に注目していきましょう。 

2025年7月14日 (月)

4K液晶テレビ

 先日の早朝、居間のテレビが突然故障して映らなくなりました。妻によると、いつものようにテレビの音声を聞きながら家事をしており、振り返ると画面が真っ暗になっていることに気が付いたそうです。まあ、購入後7年経過しており、寿命だったのでしょう。
 保証期間が過ぎていたため、修理にはモニターの交換代だけで最低6万円はかかるとメーカーの修理部に言われたので、思い切って新しく買い替えることにしました。

 買替えに当たっては、なによりUHDのディスクが視聴できる4Kテレビにすることでした。というのも、DVD・ブルーレイ収集が趣味の私としては、コレクションしているスチールブック仕様のブルーレイに、セット売りのUHDが一定数含まれているのです。そう、遅まきながら、これまで観ることもできないまま死蔵していたUHDの映像を観てみたかったのです(笑)。もちろん、併せてUHDを視聴するためのプレイヤーも格安の製品を購入しました。

 さらに、テレビ画面のサイズも、私としてはできたら55型ぐらいにはしたかったのですが、妻が支配権をもつ”居間”のテレビであることから、居間が狭くなるという強固な反対から、最終的には50型に落ち着きました。残念、無念。

 また、家電量販店で展示販売されているテレビ台はメーカー専用品ではないうえに、デザインがパッとしないにもかかわらず、なんとも値段が高いのには驚きました。家具店もいくつか回りましたが、どうも気に入りません。で、結局、通販で昔ながらのシンプルなデザインの120cmテレビ台を探して購入することになりました。

 それにしても、水曜日の朝に故障して、その日の午前中に家電量販店でテレビを購入したのですが、配達されたのが翌週の月曜でした。丁度、エアコンの販売で大盛況だったようですが、やっぱり人手不足も影響しているのでしょうねえ。とにかく”テレビの無い居間”というのは、なんとも寂しいものです。6日間の長かったこと。うん、これはやっぱり体験しないと分かりませんねえ。

20250707_182208 左の写真が我が家に到着した50型4K液晶テレビと120cm台座です。早速、UHDの黒澤明時代劇のうち、「七人の侍」と「用心棒」、さらに、東宝特撮映画「ゴジラ」を観てみました。いずれもモノクロ画像なのですが、やはり解像度が素晴らしく、人物などが立体的に見えるような気さえして”4K液晶テレビにしてよかった”と感動しました。UHDのコレクションはまだまだあります。例えば、最近の「ミッション・インポシブル」シリーズなどもありますので、洋画のカラー映像も楽しみです。
 ただ、残念ながら、居間のテレビなので妻のいない間に観ることが求められており、実はこれがなかなか難しいのだ(笑)でも、結果としては、長年の願望だったUHDを観ることができる環境が整ったのですから、”災い転じて福となる”ということで、”めでたし、めでたし”なのでした。

2025年6月13日 (金)

教皇選挙

 巷で評判が高く、意外にロングランとなっていた映画「教皇選挙」を上映最終日の前日に劇場へ滑り込みました。SF映画が中心の私としてはいつになく真っ当な作品なのですが、謎に満ちたバチカンのコンクラーベの物語は興味深いぢゃありませんか。第一、教会物は名作が多いのだ(笑)。

Img_20250613_0001  冒頭、カメラは主人公の筆頭枢機卿(レイフ・コリンズ)の後姿を映し続けて、心臓発作で亡くなった教皇の寝室に辿り着くところから始まります。ここは、”黒澤明の「用心棒」と同じく、すべて主人公の目を通して物語が語られるのだ”という監督の演出意図に気付くべきでした。残念ながらがら私は後で気が付きました。
 ちなみに、その寝室で死亡した時刻を聞いた途端、不穏な空気が流れます。側近中の側近である筆頭枢機卿への連絡が遅かったようなのです。レイフ・コリンズの僅かな疑念を表現する演技に感心します。つかみOKです(笑)。 

 その後、新しい教皇を選ぶコンクラーベが始まるのですが、何百年も前の礼拝堂などの伝統的な建造物の中で、窓が自動的に閉鎖されたり、世界各地から集まった百人を超える枢機卿たちの宿舎の部屋や食堂が割と現代的であり、それがかえって長い歴史の中で時代の変遷に対応してきたことを感じさせられます。
 現在、イスラム教との関係やジェンダー問題には、保守派と改革派とのせめぎあいがあるようですが、改革派の有力候補の副枢機卿(スタンリー・トゥッチ)の周りでも”女性の登用”には消極的なのです。
 一方で、保守派のイタリアの枢機卿は、イタリア人の教皇復活を掲げ、イスラム教徒との対決を声高らかに主張しますし、アフリカ出身の枢機卿は、史上初の黒人教皇の誕生を狙っています。
 しかも、日頃から世俗的で評判の悪い枢機卿(ジョン・リスゴー)も有力な候補者の一人なのです。まさに、現在のカトリック教会を取り巻く情勢を見事に体現する候補者たちなのです。この辺がアカデミー賞の脚色賞をとる上手さなのでしょうね、きっと。

 そして、会場が閉鎖される直前に、主人公の予想を超える事態が発生します。集まった枢機卿が一人多いというのです。いやあ、これには観客も驚きますよねえ、普通こんなことが起こるのですか? 全く展開が読めません。
 さらに、主人公の苦難は続きます。”評判の悪い枢機卿が教皇の死の直前に失職させられていた”という密告(?)があったのです。いやあ、一体、どうなるのだ、観客のサスペンス感は一気に盛り上がります。 しかしながら、この主人公の探偵役はなかなか動きません。自らの信仰への疑念を抱えているようなのです。一体、どうするんですか?などとやきもきしていたら、今度は、最も票を集めていたアフリカの枢機卿のスキャンダルが明らかになります。次々とコンクラーベの運営に厄災が降りかかるのです。

 しかしながら、こうした陰謀の裏にある真相をシスター長(イザベラ・ロッセリーニ)が毅然とした態度で証言します。完全な男性社会の中で、”シスターは目に見えぬ存在ですが、神は目と耳を与えてくださった。”というセリフは一寸感動します。名文句ですねえ。

 こうした中で、投票は何度も行われ、最後は、爆弾テロで礼拝堂の天井に穴があき、そこから光が差し込んでくるのは神の啓示かと思ったのですが、・・・なんとも意外な結末を迎え、いかにもジェンダー時代の作品となっています。
 余談ですが、あの亀(宗教上の意味があるらしい)は?新しい教皇の名前(無垢?)の意味は? カトリック教の教義に詳しい方、是非、教えてください。どうも、気になって仕方がありません。

 以上、ながながと感想を述べましたが、予想以上に面白く、画面から目が離せませんでした。本当に、次に何が起こるかわからない、”はらはらどきどき”のサスペンス映画だったといっても過言ではありません。また、出演者全員の演技に見ほれますし、本物そっくりに作られたセットにも感動しました。アカデミー賞の受賞が”脚色賞”だけだったとは信じられません。この作品はまぎれもなく傑作です。DVDが発売されたら購入してコレクションに加えましょう。

2025年5月31日 (土)

キャプテン・ブーリーの大冒険

 映画「キャプテン・ブーリーの大冒険」は、1982年公開の若き日のトミー・リー・ジョーンズ主演の”南海もの”のアクション映画です。当時は、スティーブン・スピルバーグ監督とジョージ・ルーカス製作の「インディ・ジョーンズ」シリーズの第1作「レイダース/失われたアーク」が前年に公開され、世界中で大ヒットし、第2作目「魔宮の伝説」がその翌々年に公開予定だった時期であり、どうやら、その冒険映画ブームにあやかったようです。

 この作品は劇場での鑑賞(多分、地方では未公開?)ではなく、レンタルビデオ(当時はこれが主流)でなかなか面白いと感じ、レンタル落ちのVHSテープをコレクションしていました。なお、DVD化については、後年、ツタヤの”復刻シネマライブラリー”でオンデマンドで発売されていたのですが、人気が無かったのか、私が購入しようとした際には既に廃盤となっていました。オークションなどでDVDを探しましたが、結局見つかりませんでした。多分、発売数が極端に少なかったんだろうねえ。

Img_20250529_0001  今回、20数年前の中古品を整備したVHSビデオデッキを安価に入手した(当ブログ2023.5.28参照)ので、同じく20年以上は視聴していないビデオテープを観てみることにしました。なにしろ、わずか数年前の”前編”も記憶があやふやになるこの頃です、 ”面白かった”という記憶があるのですが、内容は全くと言って覚えていない体たらくです。まあ、逆に言えばそれはそれで楽しみでしたねえ(笑)。

 恐る恐る再生してみると、テープは途中2~3か所ノイズが走りましたが、画像はなかなかきれいです。と言っても、レンタル時代のビデオ画像を思い出しての比較した感想です(笑)。ちなみに、先日大枚をはたいて海外から輸入したビデオテープは、これに比べるとかなり画像の質が落ちています。多分、保存の仕方なのでしょうねえ、きっと。

 さて、肝心な中身ですが、うん、期待が大き過ぎたのだ!! まさに、インディ・ジョーンズのヒットにあやかろうとした作品でした(笑)。以下、今後また忘れてしまわないために、備忘録として、物語を少し記録しておきます。

 冒頭、トミー演じるブーリー・ヘイズ船長が部下達を率いてジャングルの中を進んでいきます。完全なインディーの第1作のコピーです(笑)。目的は、原住民の村での銃の密売なのですが、女酋長の裏切りで襲われることとなり、あわてて逃げ出します。途中インディ・ジョーンズ第2作目に登場する”つり橋”(先取りか?)でのお決まりのアクションもありますが、最後は、たった一人となって、スペイン軍の手先となった宿敵の悪漢ベン・ピース(インディ・ジョーンズ第1作のライバル学者のような関係?で、悪人面が絶品)につかまり、銃密売の罪で死刑台に送られるというのがプロローグです。ここであきれたのは、ブーリー船長は部下たちに”逃げろ”とも声をかけず、一人だけ一目散に逃げ出します。おかげで部下は全滅(多分)。なんとも後味の悪いヒーロー振りです。この時点で、すっかり幻滅です(笑)。

Img_20250529_0002  そして、死刑の執行前に、スペイン軍の獄中でブーリーが語り始めるのが、ある女性をめぐる本編のお話です。ところで、舞台はカリブ海ではなく、南太平洋のサモア諸島なのです。ニュージーランドとの合作だそうです(笑)。
 登場するのは宣教師の卵の青年ナサニエルと美しくも勝ち気な婚約者ソフィです。プーリー船長が叔父宣教師の住む島へ彼らを送り届けるのですが、この辺は、ジョン・フォード監督の「ドノバン珊瑚礁」の雰囲気です。もっとも海に落ちるのは”青年”の方ですが(笑)。
 なんとなくソフィと仲の良くなったブーリー船長の離島後、悪漢ベン・ピースが率いる奴隷狩りにより、原住民とともにソフィが連れ去られます。かろうじて生き残ったナサニエル青年は、無謀にも小舟で後を追うのですが、太平洋の真ん中で座礁し、海の真ん中で立ち往生する場面はなかなかシュールで面白かった。
 その後、ナサニエルは、ブーリーと合流し、奴隷市場のある島で、ベン・ピースの部下たちを殲滅するのですが、悪運強いベン・ピースは樽に詰めたソフィを連れてドイツ軍の蒸気船の軍艦に逃げ込みます。
 さらに、ベン・ピースがソフィを持ち込んだ先が、悪名高い人食い人種の村なのです。ソフィは「キングコング」に出てくるような生贄の供物場に縛られ、火山の噴火口にさらされます。これもインディ・ジョーンズ第2作の先取り(?)ですかねえ。なお、その供物場のセットと醜い仮面をかぶった原住民の姿だけには覚えがありました。”そうそう、こんな場面だった”と思い出したのですが、なんか、かすかな記憶よりはセット等がチャチな造りでガッカリしましたねえ。
 そして、クライマックスはドイツ軍の軍艦との対決ですが、ほとんどコメディ(最近の「ジャングル・ジョージ」でも、ドイツ軍貴族は道化役(笑)でしたし、定番かな?)で終始し、無事、ソフィを取り返したところでブーリー船長の回想は終了し、冒頭に戻るのです。その後、死刑台に立ったブーリーの運命はというと、もちろん、御想像のとおりの展開で終わります。

 以上が、20年以上にわたりDVDを探して、もう一度観たかった映画の内容だったのですが、”楽しかった記憶はそのままそっとしておいた方がよい”との教訓を無視して”現実の悲哀”を味わうのはこれで何回目でしょうか。でも、VHSながらもう一度見ることができたことは良かったのだ!!しかも、うれしいことにコレクションのビデオテープもまだまだ視聴に耐えることが証明できたのだ!! めでたし、めでたし、なのだ。

«まぼろし密輸団

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